お揃いね私達 これでお揃いね あぁ幸せ……

女は物言わぬ 可愛いだけの《お人形》じゃないわ
―――愛しい貴方解って?

ちっぽけな自尊心 満たす為の道具じゃないわ
―――月夜の《別人格》は勝手?

首を絞めれば 締まるに決まってるじゃない
―――月が貴方を狂わせたの?

だってしょうがないじゃない 愛してしまったんだもの
―――星が私を狂わせたのは何故?

真っ赤な衣装 真っ赤な洋靴 真っ赤な口紅 真っ赤な薔薇
すれ違う男達 誰もが振り返る...
左手には花束 右手には約束を 疾りだした衝動は もう止まらない…

お揃いね私達 これでお揃いね あぁ幸せ...
貴方の白い衣装も 今は鮮やかな深紅
お揃いね私達 これでお揃いね あぁ幸せ……

...それは艶やかな女のため息 ...それは甘い男の囁き
夜空を見上げる恋人達 ありふれた風景
繰り返される恋模様 ほんの些細なこと

そんな気紛れなひと時を 永遠だと信じたりして
そんな不確かなものを 運命だと信じたりして
泣いたり 笑ったり 愛したり 憎んだりして
その束の間 遥か過去の光に想いを馳せたりして

あの星々はもう滅んでしまっているのだろうか?
それとも今もまだ滅びに向かって輝き続けているのだろうか?
光年という名の途方もない尺度の前では
人の一生など刹那の幻に過ぎないのかも知れない...

―――そんな些細なこと されど偶然とはいえ
嗚呼...偶然とはいえ彼女は見てしまった
お揃いの白い服を着て幸せそうに寄り添い歩く
彼と見知らぬ女の姿を……

お揃いね私達 これでお揃いね あぁ幸せ...
貴方の白い衣装も 今は―――

酸素に触れた赤は やがて黒に近づき示す
二人はもう永遠に 一つにはなれないという事実を...

凍てついた銀瑠璃の星々 燃上がる滅びの煌きよ
失くした楽園の夢を見る 私を導け《星屑の幻灯》

―――思い出を過去の光として埋葬出来ない限り
孤独な亡霊は荒野を彷徨い続けるだろう
女の手は悲しい程に短く星屑には届かない
嗚呼...その手を握り返したのは『仮面の男』だった―――


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