暮れる都 手鞠遊び 懐かし
今亡き祖母の顔
思い出せるだろうか

五月 哀しきかな
鯉幟をやいやいと
燃やした竹藪は
確か此処だった

子守唄 響くは藪知らず
『よい子はねんねしな おやすみ』

午前零時の鐘が鳴る
其の時に 蠢くは 朧月
徒然に身を重ねましょう

疑心暗鬼の華が咲く 高らかに
渡る世は 鬼ばかり
浮舟に身を任せる

黄金色した蜘蛛
他人行儀さ らいらいと
飴玉一つだけ おくれ おくれや

三日もすりゃ 猫など恩知らず
今宵 獄の晩 さよなら

光る少女は籠の中 踊りゃんせ
浮世道 通りゃんせ
人生は 嗚呼、波瀾万丈

知らん面した あの人が 来やしゃんせ
品定め 見やしゃんせ
奪われし儚き春 遠き春 還れぬ春

『前略、父と母…』筆を走らせても
溢れるのは五月雨 涙 ただそれだけ

午前零時の鐘が鳴る 其の時に 蠢くは 朧月
徒然に身を重ねましょう

疑心暗鬼の華が咲く 高らかに 渡る世は 鬼ばかり
浮舟に身を任せる 凛と泣く小春日和

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