真っ白な綿の様な粉雪が
真っ黒な野原に降り出した
鉄の鳥もブランコも染め上げ
いつしか君も見えなくなる

ただ あの頃の僕たちは
こんな空見上げて喜んだ
手に握りしめたチョコレートは
体温に溶けていく

足の遅い僕 速く 早くと急かした
海を望む丘の上
今は君がずっと好きだった
少女が眠っている

僕らの理想や空想は
下らない思想に殺された
窓硝子 結露して罅割れ
遠くで焼ける 時計塔

平行感覚を失って
呼吸のペースを見失う
押し寄せる足音に
足並みを揃える 僕

ねぇ 僕は幻を見ているの?
ねぇ 君も幻を見ているの?

足の指先も 手の指先も
いつしか感覚を失って
引き金を引く事にさえ僕は
戸惑うことを忘れてゆく

真っ白な綿の様な粉雪は
真っ黒な野原に降り積もる
あの空も あの丘も 染め上げ
いつしか「僕」を見失う

寒空の下で今 耳を裂く
銃声が一度だけ鳴り響く
君は今 少しだけ ほら
少しだけ

笑っていた

ねぇ 僕は幻を見ているの?
ねぇ 僕は幻を見ているの?

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