夏の残像は消えないままで、私の鼓動の音だけがこの部屋に響き渡る。
蝉の鳴く音、朝顔の匂い。私はあなたの幻影を未だに探していた。

時報が15時を告げ、37℃の街に逃げ場を求めた私は蜃気楼。

名前を呼んでくれ。それ以外は何ひとついらない。
答えは無くした。今、あなたは緑色の中。

夏の残像に気をとられていた。
あなたの鼓動の音は、もう聞こえることはないでしょう。

風のゆくえにその身を任せてしまいたくなり、震える身体の中身は何も無い。

涙は堪えた。私は美しい夢を見てる。
さよならは言わないで。さあ緑色の中に行くよ。

過去と未来をつなぐ、その境目の私。
おはよう、絶望。緑色の中へ。

名前を呼んでくれ。それ以外は何ひとついらない。
答えは無くした。今、ふたりは緑色の中。


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