心臓の奥 彼は住んでいる 寒い日は飲み干したボトル
叩き割る にやついている そして歌う

「誰か、誰か、誰か、聞いてくれ」 彼は空を見上げ かきむしる

かすかな光が今 俺を撃ちぬく
名前を呼んでる声がする
何かをなくしながら それでも行かなくちゃ
踵に聞こえている 足はまだ見ぬ方へ

泣き出しそうな 一人ぼっちの部屋 錆びたギターのその音だけが
君の窓かち割っていく 風が暴れだす

「誰か、誰か、誰か、聞いてくれ」 彼は部屋を飛び出して かきむしる

かすかな光が今 俺を撃ちぬく
名前を呼んでる声がする
何かをなくしながら それでも行かなくちゃ
踵に聞こえている 足はまだ見ぬ方へ

「誰か、誰か、誰か、聞いてくれ」 俺はひとつの言葉をかきむしる
誰か、誰かの中の化け物に宛てて くたばれ くたばれ

踵に聞こえていた肋のリズムは
ロシナンテ おまえの鼓動だろう
一条の稲光 割れたガラスの中 映って燃え上がる歌

たしかな光が今 俺を撃ちぬく
雲間から射しこむ声の方へ
何かをなくしながら それでも行かなくちゃ
踵に聞こえている 足はまだ見ぬ方へ


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