山の鵥があはれと啼くたびに
村の娘はりんごを一つもぐ
なぜ なぜ りんごは思う
どうして独りになるのかな
でも でも りんごは告げる
父さま母さまおさらばじゃ

りんごりんごりんご りんごの哀しみ籠の中
りんごりんごりんご りんごの哀しみ籠の中

ある夜お婆が炉端で言うことにゃ
人に買われてりんごは紅いとさ
なぜ なぜ りんごは思う
どうして売られてゆくのかな
でも でも りんごは告げる
兄さま姉さまおさらばじゃ

りんごりんごりんご りんごの哀しみ籠の中
りんごりんごりんご りんごの哀しみ籠の中

十五時五十四分 青森発上野行急行津軽
りんごは今日も売られていく

お岩木山の麓では お猿の弥三郎手を振って
齧るりんごも目にしみて 汽車はじょんからじょんからと

流す泪の血の色は ついにりんごを紅く染め
月夜に蛍も淋しがり 汽車はじょんからじょんからと

りんごりんごりんご りんごの哀しみ籠の中
りんごりんごりんご りんごの哀しみ籠の中

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