この部屋から笑顔が
ひとつ足りなくなって
もうどれ位 経ったのだろう
お袋と二人きりの毎日も
まんざら悪くはないと
感じてるけど ため息をつくたび
またひとつ老け込む お袋の姿は
今の俺にはまだ重すぎる

出て行った親父を 恨みはしないけど
残された二人には この部屋は少し広すぎる
毎晩 ギター抱え歌う生活は
俺にわずかばかりの 余裕を与えてくれた
仕事終わりの酒も 美味く感じ始め
恥ずかしながら母の日に
カーネーションも渡せた

あの頃の親父に
俺は近付いているかい
背伸びをしてみても
まだ少しだけ 足りないかい
この街に生まれて この街に育ち
俺を愛し育てた 親父を忘れはしない

愛すべきもの 支えて行くもの
戦いの内 守ることが
出来て初めて 男と呼ばれると
出て行く前に親父は
泣きながら言った
やがて俺も家族を愛し
子供を育て この街で戦う時が
来る筈さ その時初めて
解り始めるだろう
男が最後に守る 砦の意味が


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