朝の香り
蒼い絵の具
ぶちまけたような
海に呑まれてゆく
行き場のない
かもめは飛べずに
群れをなして
震えてたたずんでいる
町の灯りが溶ける
琥珀色の涙
こぼれ落ちる度に
願いを託した
二度と穢さないように
傷つけないように
守人は眠る
からっぽの大地で
夜の光
黒い風に
さらわれて
消えていった
帰り道は
どこにもない
記憶を辿れば
色鮮やかな
ツツジが咲いていた
ニセモノの光に照らされた
町は明日を失くした
地図から切り取られたような
世界で叫び続ける
太陽はとっくに
沈んでいるのに
まるで秋の夕日
夜空を赤く染める
二度と忘れないように
いつか癒されるように
守人は歌う
声を枯らしながら
全ての生命に
安らぎを与える
新しい苗は
その手の中で息吹く
二度と穢さないように
傷つけないように
守人は眠る
灰色の大地で
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