己龍/暁歌水月

蛾眉ノ蛹ハ羽化ヲ知ラズ

己龍


word: 酒井参輝 music: 酒井参輝

『暁歌水月』収録

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  • ぼんやり浮かぶ曲線の淵をなぞる指 夢見心地の水面に揺蕩う蜉蝣よ
    風が誘いゆらめく意識に吠える夜 後に残った波紋の影が棘の様に

    崩れてく 壊れてく 遠のく調べ
    欠け落ち 剥がれ落ちた 何時かに爪を立てる

    僕は僕を脱ぎ捨て僕の知らない僕が顔を出す
    失くしたのは僕か…僕の形をした何かだったのだろうか…

    置き去りの宵 ぽつりと願うは

    「時よ止まれ」

    光が僕を生かし…僕を殺す

    焼け付く痛みが僕を起こす

    崩れてく 壊れてく 遠のく調べ
    欠け落ち 剥がれ落ちた 何時かに爪を立てる

    僕は僕を脱ぎ捨て僕の知らない僕が顔を出す
    失くしたのは僕か…僕の形をした何かか…

    明くる日には僕は僕を忘れて僕として生きる
    満ちていた大切な何かが欠けて僕がいる

    ゆらゆら揺れて…

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