この場所に来るのも何度目かな
数えることもできないくらいにワタシたち
同じ時間を過ごしてきたのね

砂に落ちた影をやわらかく包み込むように
オレンジの陽の光が辺りを染めていった

いつか一度だけあなたはここで涙を流して

「離れることが怖い」と言った
その言葉が蘇る

あの日あなたは知っていたの?
二人が築いていく未来

澄んだその瞳にワタシは映っていたの?

あなたが言葉を紡ぐ前に恐くて唇で塞いだ

打ち寄せる波音だけが いつまでも響いていた

愛は時間と共に見えるものと思っていたけど
時計の針が進む度に見えてくるのは あなたの嘘

些細な言動の意味も どこか悲しげな笑顔も
あの時はまだ気づけなかった
今なら全部わかるよ

だから何も言わないで
いつかみたく笑っていて

最後まで嘘で愛して

あなたはこの海 そしてワタシはあの空
遠くでいつか交われそうでも

境界線は消えないの

「ずっと一緒にいたいだけ 隣にいれるだけでいいの」

声にならない声に 最後に願いを繋ぐ

見つめるあなたの瞳の中沈んでいく夕日は
境界線を滲ませていた

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