「ほら、どうだい?レンズごときには写せない。
こんなにも世界は美しいのに。」
盲点が隙を生んだせいで、肝心な時こそ役に立たない

「君の目が何故、二つしかないかって?背中を誰かに預けるためさ。」

「もしも複数の目を所有していたとすれば、広い視野の中で君は迷うだろ。
傷ついたり、つまづいたり、消えそうにない痛みを受け止めた時、
前だけを見れる様に。」

美しい世界が在るなら、逆も然り
ドス黒い世界も同時に写すんだ
媒体に脳を選んだせいで、忘れたい記憶も削除されない

「君の目が何故、二つあるのかって?守りたい誰かと抱き合うためさ。」

「もしも片方の目を失ってしまったなら、感覚が麻痺して手が空を切る。
“何処に居るの?離さないでよ。”消えそうにない痛みで崩壊した時、
ズレてしまわない様に。」

「涙で滲んでしまえば、汚(よご)れも汚(けが)れも輝く。
だから気が済むまで泣いてもいいんだよ。
瞼を閉ざし闇の中、夢を少し見れば、何度でも顔を上げたくなる。」

「もしも君が恋に落ちる日が来たら、
フォーカスを合わせて。ボヤけない様に。
左で影、右で光。重ねて出来上がる大切なヒトを愛してあげて欲しい。」

「後はもう、君に委ねるよ。何時だって終わりに出来るのだから。」


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