あだなき 鳳(とり)が 真逆(まさか)に 落ちる
矢疵(やきず)も 病も 無かれど
灯したことも 気付かぬ 内に
亡くした 火の名を 胸に 独り 散る様を

飾るは 此(こ)の 羽盛(はもり)
最後の天(そら)に 泛(うか)ぶ 沙羅の 華
葬(はぶ)らる 此の 鸞(とり)を
忘れる頃に 覚(さと)れ 音が 絶えると

鼓翼(こよく)を 気取(けど)り 火燼(かじん)が 跳(おど)る
然(さ)したる 寂(さび)など 有らねど
手繰るも 毟るも 羽根は 盗れぬ
せめて 嘯(うそ)むけ 飛ばぬ 鳳(とり)は 有り得ぬと

誑(たら)すは 其の 羽振り
無数の虚(そら)に 泛(うか)ぶ 邪侈(じゃし)の 腹
嬲らる 此の 廉(かど)を
嘲るものに 定む 聲は 聴かぬと

あれなる 天が 官製ならば 賊土こそ 我が意
天を 蹴りて 地へと 昇れ 其れこそ
只 前に 歩むこと

飾るは 此の 羽盛(はもり)
最後の天(そら)に 泛(うか)ぶ 沙羅の 華
葬(はぶ)らるとも 穢されぬ
あぐねる内に 無価(むげ)の 命が 限りを 知り
自ずから 散ると 然(しか)れば 歌えよ


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