眼指(まなざし)で 殺したい 絡む闇に 諍(あらが)う 念(おも)い
強く 両の眼に 宿して
情熱を 閉じ込めて 裏切れれば 泪は 要らぬ
焼(く)べて 道ならぬ 番(つがい)を

咲き乱る 花の哀れが 私語(ささめ)く
触れなば 堕ちよ 無影(むよう)の 徒(あだ)と

桜の 宙(そら) あなたに響く 祈り
運命の 随(まま) ふたりを繋ぐ 雲路
結びかけた 指を 優しく 解けば
然(そ)う 少しずつ 彼(あ)の日に 還る

愛しさを 殺したい 只 無闇に 逆巻く 想い
酷く 遠き日と 紛(まが)えて
生滅(しょうめつ)を 翫(もてあそ)ぶ 企(くわだ)ちなら 慈眼(じげん)は要らぬ
渾(すべ)て 音も無く 砕いて

聳(そび)え 征(ゆ)く 叢雲に待つ 魔道よ
残らず 爆ぜよ 悔悟(かいご)を 抱いて

桜の 宙(そら) あなたに響く 祈り
運命の 随(まま) ふたりを繋ぐ 雲路
結びかけた 指を 優しく 解けば
然(そ)う 精神(こころ)だけ 彼(あ)の日に 還る

帷(とばり)は 眼で下ろす 瞼(まぶた)の 夜を為す
未だ 明ける 残花(ざんか)の 色を 視よ
其は 必じ 散るとも 逆(さか)う

桜の 宙(そら) あなたに響く 祈り
運命の 随(まま) ふたりを繋ぐ 雲路
解きかけた 指を 優しく 結べば
もう 戻れぬ 彼(あ)の樹のもと

舞い落ちる 弔(とむら)い 殉(とな)う 花に
只 閉じる 未練に怖(お)じる 心
愛を 湛(たた)う 矛(ほこ)で 此(こ)の盾を 打てば
然(そ)う 来(きた)る日が 桜に睡(ねむ)る

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