なまめかしく舞ゐ踊る蝶は 張りありかす見えざる意図に掛かり
ふと目がおどろき朦朧なる中 今か今かと蠢き犇めく影が

なかなかなる偽善の塊 一筋の月明かりのみが
差し込む薄暗き部屋にて 唾液に塗れてゆく

白濁せし雨に打たれ 羽根は塗れ雁字搦めに藻掻き

しどけなきシーツに衣類 頬を伝ふ泪の乾きし痕
纏わり付きし痛みは消えず毟られ舞ふ羽根が…

ひとつ 悲鳴に拒絶の言葉
ふたつ 屈辱 羞恥 の裏側
みっつ 快楽に泣きつつも溺れ
よっつ 其の憎しみ忘るるなかれ

絲轢く指に絡め付きし 悶え軋み揺らめく肢体
擦るる度に洩るる吐息 侵食されてゆく
なかなかなる偽善の塊 一筋の月明かりのみが
差し込む薄暗き部屋にて 唾液に塗れて逝く

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