赫く照らすは蠱惑の月 籬の外に
彼岸花バなびらビラ
廓の内 繋がれては
病むに止まれぬ 世は無常

花魁道中

高が夢 然ど夢 毒の日々
散りぬる紅葉

地ノ獄ハ其ノ先ニ…

栄華極めし手招く影
悦眼で誘い 嗤う欲
くるり くるりら 眩めきんす
散らし散らされ 明けぬ夢

似非化粧 艶の談
秘めし隠しで 奏で舞う

涎濡れの狗の口元に
ひらりと人差し指を付けて
煙管燻らせ蜜の囁きで
廓詞の糸を張り巡らし

仮初の愛に淫れ媚態
柘榴の果肉は憂いに熟れて
ざくりと爛漫 一夜の契りを舐めり
貪り突く馴染みを手練手管熟し
「感情」は棄て「勘定」に欺く

魔境に誇り 蠢く影
浮かべど沈み 品定め
ゆらり ゆらりら 揺らめきんす
絆し絆され 匣の中

似非化粧 艶の談
秘めし隠しで 奏で舞う

現こそ夢 夢は幻
幻こそ現 宵狭間
男は極楽 女は地獄
猩猩緋の鱗を身に纏いて

仮初の愛に淫れ媚態
柘榴の果肉は憂いに熟れて
夜半に轟いて聞こゆるは半鐘の音か
一層の事に総て紅蓮に染めなして
今宵もあっちは「春」を売りんす
安堵の焔に包まれて...

捨つるは浮世の柵か

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