怨み毒染み込あせし
宵に手招きまつる
花開く音は慟哭となりて

狂い咲く彼岸の「紅」
其の足許狂わす
藻掻き刻む傷深く
瘡蓋一片、はらり

ほら、あちら…彼ノ岸
琥珀舞う ざわめきに
「言ノ葉」も 彼も攫い
朧に霞む
ほら、こちら…此ノ岸
蒼褪めの 水面へと
彼の姿 重ねども
逢瀬も叶わぬ

「もう、いいかい?」
「…まあだだよ」
恋し、哀し、愛し
偲狂し

結びし契り指 散るだに千切れ
きりきりキヰからから 班模様
朱く…赫く…緋く 揺るぎ
紅蓮の焔は 滲色に染む

影追いに淀みヘ入水
耳劈くは静寂

なれど河原の渡し
丹ィ、と嗤み「とおせんぼ」

ほら、あちら…彼ノ岸
白霞み 靉けば
何も波も 遠離り
たゆたゥ
ほら、こちら…此ノ岸
剥がる爪 噛み砕キ
噛ミ千切ル 小ノ指も
せせらゥ

「もう、いいかい?」
「…まあだだよ」
恋し、哀し、愛し
偲狂し

結びし契り指 散るだに千切れ
きりきりキヰからから 螺旋模様
果敢無きかな 儚けれど
歪み嘆き 嗄レ項垂る

紡ぎ「言ノ葉」舞い 廻り巡りて
きりきりキヰからから万華模様
血塗る花弁 滴ル様
「もう、いいよ」と
ぽとりと 口吻け
ぽとり 口吻け

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