己龍/明鏡止水

呪縛愛

己龍


word: 黒崎眞弥 music: 九条武政

『明鏡止水』収録

  
        

依存、執着、異常愛 「正に――其のものでせう?」
針と絲で繋ぐ手を 縫 い 合 わ す
夢見心地 深く…甘く…接吻


絡む指先 離れゆく 温もりも――も…すべて
「繋がりは 曖昧」 で 「曖昧な口約束」
其の場凌ぎの返答に溷濁


柑橘香に混じり此れ見よがしに鼻を突く香が…
――へと手を伸ばし、掴まれど…「脆く溶け爛れタ…?」


吊されて ぶらり と ゆらりゆらァ と 廻ル
ぬらり 眩り 狂々 どろり 宵
揺れ滲む――は狭間で隠恋募
「此れ、切り…」 と 呟く 然れども断ち切れず
底冷えの敷布へ沈み込んだ
「お願い、此れ以上…惨めにさせないで」


思い出が はらり ほろり と
仄暗い部屋の片隅で膝抱え 病み病むは喪


赫黒く燃ゆ愛憎は 黄昏の逢魔が刻に
ギ チ ギ チ と 切リ憑ケル ズ タ ズ タ に
左――を 酷く熟らし焼け爛れた空へと重ねて


継ぎ接ぎの呼吸で声成らずに喉ヲ 掻 キ 毟 ル
呑込んだ錠剤の数だけ…「――の傍に居て…?」


千切れる此の想い 縺れ絡まる絲
嫉妬を灯し 心は五月雨て
滴る紅涙に――は染マラナイ…
姿見に映れば 滑稽で脆弱
其れすら知りながら 「嗚呼、其れでも…」
耳許を囁く螺旋の呪縛歌


吊されて ぶらり と ゆらりゆらァ と 廻ル
ぬらり 眩り 狂々 どろり 宵
揺れ滲む――は狭間で隠恋募


仄暗い井戸の底から
息苦しく藻掻く――を見下ろし――は嘲笑う

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