2012-02-20
【SPYAIR】“ひとつのグルーブ”の中で感情を爆発させる
アルバム『Rockin' the World』以来となる約半年振りのシングルが完成! 削ぎ落としたサウンドと豪快なグルーブをバックにエモーショナルな歌声が響き渡る、SPYAIRの2012年の幕開けを告げる強烈な一撃だ。
──今回のタイトルチューンになった「My World」が生まれた背景には、どのような思いがあったのでしょうか?
MOMIKEN この曲を作ったのは2年前くらいで、メジャーでこれからやっていくぞっていうことになって、仕事も辞めて…でも、そのメジャーデビューがいつになるかっていうのはまだ全然見えてないっていう状況だったんですよ。で、自分が選んだのはこの道で良かったのか?とか、いろんなことを自問自答していた時期で…。俺がどんな未来へ進んだとしても悪いことはもちろんある。でも、良いことを突き詰めようとすればどの未来を選んでもきっと間違いはないだろうなっていう意味で、“光は進む先にある”っていう歌詞でこの曲は締め括ってるんです。
──みなさんのリアルな体験が、“光は進む先にある”っていうポジティブなメッセージにつながったんですね。
ENZEL☆ そうですね。だから、僕自身も思いっ切りグッとくる歌詞がたくさんあって。例えば、《悲しみさえ優しさに変えていけたら少しずつだけど世界を好きになれる》っていうところは、ウルッときます(笑)。音を楽しむこと、ライヴを楽しむことが僕はやっぱり一番好きなことで、それはまさに自分にとっての“My World”なんだっていう。
IKE そうだね。俺たちはこれからメジャーに行ってやっていくぞっていう中で、光は見えるような気はする。だけど、実際の自分はまだそこにはいないから、その光を見上げているような状態というか。その中で、自分の選択は本当にこれで合っているのかって不安になるけど、でも進んでいかなきゃ光は見えないよねっていう気持ちを歌って。
MOMIKEN その究極な自問自答をとことん突き詰めた中で生まれた曲に対して、聴いてくれる人が感動したとか、自分も強くなれる気がしたとか、そういう反応をもらえることを通して、俺たち自身もいろんなことに気付かされたりするんですよ。誰もがいろいろな悩みを抱えて、その中でひとつ答えを見つけていくんだなって。
──そのSPYAIRのリアルな体験から生まれた歌詞に対して、サウンド面ではどんな思いを表現しようと?
UZ この曲は最初“One Groove”っていう仮タイトルだったんですけど、まさにタイトル通り“ひとつのグルーブ”にどれだけ感情を込められるか、みたいなテーマがあったんですよね。リズムチェンジがあるわけでもなく、音数もそんな極端に増やすわけでもない、そういうサウンドの中で感情を爆発させるっていうテーマを最初に掲げて。例えば、今言ったリズムチェンジだったり、フック的な要素をいろいろ入れる曲が俺たちには多い中で、この曲はある意味“着飾らない”みたいな感覚のサウンドかもしれない。
KENTA そう。俺たちのバンドとしての生のグルーブが曲のイメージを決めるっていう感覚があったので、このレコーディングの時は“ノリ”をすごく意識していて。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミスをイメージしようっていう話になったのをすごい覚えてますね。
MOMIKEN あったあった!(笑) チャドはもうちょっと右肩が上がってるよねとか、もっとニコニコしながらドラム叩いてるよねとか。笑顔がちょっとでも薄れてくると“笑顔笑顔!”って突っ込んだり(笑)。
KENTA (笑)。レッチリも、ある意味“着飾らない”サウンドの中でも、グルーブがすごいじゃないですかっていうイメージがあったんで、この曲は確か、俺の目の前にMOMIKENもUZもいて、“せーの!”で一緒に音を鳴らしてるような感覚でやってみたんですよ。
UZ そう。だからある意味、“削ぎ落とす美学”じゃないですけど…ギターをたくさん重ねて、いろんな音をさらに重ねてっていうやり方だと、サウンド的に圧力が強くなるじゃないですか。けど、この曲を作ってから、音に込める気持ちみたいなものは少ない音数の中でも出せるんだなっていうふうに、曲に対する考え方が変わったりもしましたね。
──その“削ぎ落とした”グルーブに対して、「Come on」はアダルトな雰囲気から、サビで一気にダイナミックな音像へ展開していくスタイルがインパクトありました。
IKE そうですね。今まさにおっしゃっていたアダルトな雰囲気というか、サウンドに対してヴォーカルが切なさをどう表現するのか、そういうバランスを意識した曲ですね。切なさだったり、孤独感だったりも歌で表現したいと思っていたし、それに対してサビではギャップもあったり。メロディーはすごい静かな感じなんですけど、サビになるとドカッとロックして攻めていくっていうスタイルで。
──という2曲のロックチューンに対して、去年シングルとしてリリースした「BEAUTIFUL DAYS」は今回アコースティックバージョンにリアレンジしていますね。
KENTA ワンマンライヴではアコースティックスタイルの曲もやってるんですよね。そういうものも単純に好きっていうのもあるし、エンターテインメントとしても面白いんじゃないかっていうのもあるし。
──ロックバンドがパートチェンジしてしっとり聴かせてくれたりすると、驚きもありますしね。そういうエンターテインメントっていう意味では、SPYAIRにはENZEL☆さんっていう武器もいますし(笑)。野音でもマシンガントークを炸裂させたり、キャノン砲をぶちかましたり、大忙しで!
ENZEL☆ オイシイところをいただいて申し訳ございません、としか言えないんですけれども(笑)。ライヴ全編を通して暴れて楽しんだりするのもいいけど、僕もお客さんとしてライヴを観に行った時に、その人たちの普段は見れない一面を見れたりすると嬉しいんですよね。そういう役割を自分が担えてたらいいなと思ってますので、次のワンマンツアーもぜひ楽しみにしていただきたいです!
取材:道明利友
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