2012-01-20
【水樹奈々】今歌いたい!水樹奈々の熱い想いがほとばしる!
東京ドーム2デイズ、3度目のNHK『紅白歌合戦』出場の興奮冷めやらぬうちに、早くもニューシングル「Synchrogazer」をリリースした水樹奈々。2012年も怒濤の快進撃を予感させる、こだわりとチャレンジを詰め込んだ作品になった。
──「Synchrogazer」は、水樹さんのプロデューサーである上松範康さんが、原作と音楽を手がけるアニメ『戦姫絶唱シンフォギア』の主題歌ということですが。
上松さんが3年ほど前から温めていた企画で…声優として、歌手として、両方の角度から作品に携わることができ、すごくうれしいです。
──ハイトーンのファルセットで始まるのが意表を突きますね。
サビや曲の後半でハイトーン全開!というのはこれまでもあるのですが、ど頭からはインパクトがありますよね! スタッフさんからは“またカラオケで歌うのが大変です”って言われちゃいました(笑)。確かにハイテンポで息継ぎのポイントもシビアなので、すごく難しい曲ですね。それに、ただがむしゃらに歌うだけでは、この曲の良さは表現できないと思っていて。感情や表情が歌詞やメロディーとリンクするように細かい部分まで意識して歌ったので、最初はとても大変でした。でも、ハードルが高ければ高いほど燃えるんです! 常に新曲のレコーディングは限界越えじゃないけど(笑)、自分との戦いです!! また、新しいものと出会えました。
──転調とか、後半で急にバラード調になったり、フックとなる部分がそこかしこに隠されていて。聴き応えがあります。
全体としてすごく変則的な構成で、最初は私も圧倒されて呆然となりました(笑)。展開が激しすぎて最初はびっくりすると思いますが、聴き込むほどに多面性を感じて、胸が熱くなります。さらに歌詞も、登場する4人のキャラクターの名前が密かに入っていたり、ストーリーの伏線となる部分も多々あるので、アニメ作品の物語と併せて楽しんでいただけたらうれしいです。
──歌詞は、愛を歌に乗せて、その歌で守りたいという。
私が演じる “翼”は、相方の“奏”と常に一緒に歌い戦っていたのですが、奏の死によって自分はもう飛べないのでは?と悩み、奏の死は自分のせいだと自分を追い詰める…そんな翼の切なさや危うさも秘めたまっすぐさを曲に込めたいと思って。とにかく一途に、大切な人のことを想って歌うということを書きました。タイトルは、ふたりが対で戦うということで“Synchro”、“gazer”は見守るの意味。歌詞の中でカギ括弧で括っている“だから笑って…”は、そんな翼を見守る奏の言葉でもあります。
──奏役の声優の高山みなみさんは、TWO-MIXのヴォーカルで、デジタルサウンドの先駆的存在。「Synchrogazer」は、そんなTWO-MIXへのオマージュかと思いました。
実は1月25日に、私とみなみさんがツヴァイウィングとしてデュエットするキャラクターシングル『逆光のフリューゲル』もリリースされます。これは劇中曲なのですが、まさにデジタルサウンドでめちゃくちゃカッコ良いです! 私自身、TWO-MIXを聴いて育った世代なので、みなみさんとデュエットさせていただけたのは感激でした!
──カップリング「Love Brick」は、初のドラマ主題歌ですね。
こちらはガラリと変わって、生音重視のバンドサウンドになっています。CSドラマ『スイッチガール!!』の主題歌で、オンとオフのスイッチを切り替える女子高生のラブコメディー。キリっとカッコ良く気取っていたり、オヤジっぽい一面があっても、実は女の子らしくて、可愛くて、ピュアな内面を持っているというところを、歌詞でも表現したいと思って、とびきりキュートな曲に仕上げました。
──タイトルにある“Brick”は、積み木のことですよね。
高校生の頃って、毎日ちょっとしたことで一喜一憂する。それは、すぐに積み上がって、すぐに崩れる積み木みたいだなと思って。それに積み木は、積み上げ方で個性も出ると思うし…
──(笑)。そして、もう1曲「理想論」は今までと違うタイプ。水樹さんの希望で、急遽レコーディングして収録されたとか。
デモテープを聴いた時から忘れられなくて、早く歌いたい!早くかたちにしてみんなに聴いてもらいたい!と思ったんです。東京ドーム公演が終わって、すぐに作詞家の藤林聖子さんに歌詞をお願いして、ライヴ後の熱い気持ちのまま集中して制作に打ち込んでいました。
──どんなところに惹かれたのですか?
全体の構成が歌謡曲チックで、今までにない艶っぽさがある曲だと思って。『純潔パラドックス』や『悦楽カメリア』も妖艶な雰囲気があるのですが、今回のような肝の座ったゾクゾク感は初めてで。ぜひチャレンジしたいと思いました。
──歌詞のモチーフは、全て水樹さんから?
恋愛に対する男女の考え方の違いを描きつつ、ドキッとする表現も入れたいとお話をしたら、藤林さんから真っ先に“理想論”というタイトルが出てきました。音と詞のハマり方もすごくて、特に“優しさの…はき違い”のところは、男性が聴いたらドキッとするかも!?(笑)
──歌声は切なくて熱い、心の叫びのようですね。
抑え切れなくてどうしようもなくなって、自分の感情を吐露するような感覚で歌いました。理想を求めてはいけないと分かっているのに、どこかで“そうであってほしい”と願っていたり…。大人だから口には出さないけど、でも分かってほしい気持ち。そうした切なさや、もどかしさを感じていただけたら。
──映画やドラマのワンシーンのように絵が浮かびますね。
でも、冒頭の歌詞にある、灯りも点けずに鏡を見つめている姿は、想像するとちょっと怖いですけどね(笑)
──今回は個性の異なる3曲、多面性を持った一枚になりましたね。
同じCDに入っているとは思えないほど、どれも振り切った曲になりました(笑)。今歌いたい!と思う曲を素直に選ばせていただいたので、たっぷり味わっていただけるとうれしいです。早くライヴでも歌いたいです!
取材:榑林史章
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