2011-07-20

【水樹奈々】妖しくも危うい、盲目の愛を歌う

 現在、全国ツアー『NANA MIZUKI LIVE JOURNEY 2011』を行なっている水樹奈々が、本人主演のアニメ『BLOOD-C』のエンディング曲「純潔パラドックス」をリリース。緻密に織り上げられた言葉が水樹ワールドへといざなう、妖艶さ漂う楽曲に仕上がった。

──全国ツアーの真っ只中ですが、新曲「純潔パラドックス」をリリース。タイトル曲は、水樹さんが声優として主演中のアニメ『BLOOD-C』のエンディング曲でもありますね。

オーディション合格の通知の後、エンディング曲を…というお話をいただいて。本当に嬉しくて、めちゃくちゃ気合い入りました!

──制作のタームはどんな感じでしたか?

2月くらいから楽曲セレクトに入り、制作が本格的に始まったのは4月に入ってからです。アレンジをしっかり詰め、5月7日の福岡公演後すぐに作詞と歌入れに取り掛かりました。でも、実は今回作詞に時間がかかってしまって…歌入れの2時間前の時点で、まだ完成しておらず、最大のピンチでした(泣)。和テイストの楽曲ということで、文語調の言い回しを多く取り入れたり、『BLOOD-C』の物語の結末を知らされずに作詞に挑んだこともあり、とても苦戦しました。でも、ギリギリまで時間を使い、こだわり抜いたおかげで納得のいくものに仕上がりました。

──その歌詞は、主人公・小夜の心情にスポットを当てていますね。

小夜は自分の置かれている状況や戦う理由も知らないまま、大好きな父親や街の人たちのために健気に戦いを続けるんです。そんな無垢な気持ち…疑いもなく目の前のことに一生懸命になれる小夜のピュアさを書けたらいいなと思って。

──それでタイトルに“純潔”と付くのですね。

はい。それに、小夜は巫女でもありますし。それから“BLOOD=血”なので、“純血”にもかかっています。

──“パラドックス”という部分は?

小夜は日常ではほんわかしているけど、夜になると刀を握って“古きもの”を倒しに行く。小夜の昼と夜の顔、二面性もテーマのひとつなので“パラドックス”と付けました。

──艶めかしい雰囲気もあって、純愛でありながら愛憎の念も感じる。これもパラドックスのひとつですね。

はい。一途な想いはピュアだけど、ピュアで混じりけがない分、狂気にも転じる。その危うさ、紙一重の雰囲気も出せたらと思って。どうしても倒さなければならない相手に一途に向かって行くさまは、ある種の恋心にも似てるんじゃないかと。

──タイトルの“パラドックス”以外、英語とカタカナが一切なく、古語のような表現を使うこだわりようで。

『BLOOD-C』は毎話ごとのサブタイトルが全て百人一首の歌なので、作品とのシンクロを深くしたくて、歌で詠まれているような美しい日本語をあえて使っています。それに、短い言葉の中に自分の想いを込める和歌のやり方は、読み手によっていろいろな想像を膨らませることができる。言葉に込められた意味が幾重にもなっているのが素敵だと思って。

──口すさぶは“口遊ぶ”と書くんですね。“天泣(てんきゅう)”など、この歌詞で初めて知りました。

私も辞書を片手にその都度調べながら、いろいろな本を読んで勉強しながら書いていきました。その分、時間がかかってしまったんですけど(笑)

──こういう言葉遊びはお好きなんですね。

すごく好きです! だから、いつも楽しいです。子供の頃は推理小説が好きで、ひとつのキーワードからいろんな言葉を連想させる遊びをよくしていました。それが今回の作詞にも当てはまっていて。実はこの歌詞も紐解いていくと、今後の展開が隠されているんです。ネタバレになってしまうので、解説できないのがもどかしいです(笑)。あと、言葉のバランスや言葉とメロディーとの相性は細かく気を付けました。文字では良いと思っても、歌うとしっくり来ないこともあるので、実際に歌いながら書いて行きました。

──アップテンポで勢いのあるサウンドですが、グルーブ感とかちょっと独特な雰囲気もありますね。

いろんな要素が入ったサウンドですよね。ただ速いだけじゃなく、しなやかに、なめらかに、艶っぽい部分もロック調にたたみ掛ける部分もある。だから、歌い方にもいろんなニュアンスを取り入れました。歌謡曲のように音をしゃくったり、わざと溜めたり。今回の曲ならではの表現がたくさん入っています。

──《あぁ…燃ゆる秘め事》の部分は、色っぽいですね。

ありがとうございます(笑)。『BLOOD-C』は運命の赤い糸のような血でつながった、人の思いや念が乗った艶めかしさがあります。だから、ちょっと妖艶で女性的な曲線美を感じてもらえる歌い方ができたらいいなと思いました。

──PVは能をイメージしているとのことですが。

ひらめきなので、理由は説明しづらいですけど…能の演目の中に、最初は穏やかな表情の女性の面で踊っていて、恋に破れて愛しさが憎さに変わった瞬間、般若の面に変わるというものがあるんです。それがこの作品のテーマの“二面性”に通じるとも思ったので。実際に能楽師の方に舞っていただいているところも見どころですっ!

──その他にも「7COLORS」「Stay Gold」は、また違ったテイストで、表情の違う3曲を収録したシングルになりましたね。

はい! 『7COLORS』は私の名前にちなんだ歌詞も入っていて、すごく気に入っています。夏にぴったりのさわやかな曲です。『Stay Gold』はロック調でキラッとしていて、サイバーな曲。どちらのもライヴでめちゃくちゃ盛り上がれる曲になりました! 8月の『Animelo Summer Live 2011』には、7年連続で出演します。アニサマならではのコラボが飛び出すかも!? 会場でみなさんとお会いできることを楽しみにしています!

取材:榑林史章

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