2012-12-20
【DIR EN GREY】再始動を経て新たなるフェーズへ
2012年2月に京(Vo)が“声帯結節”“音声障碍”と診断され、バンドとしての活動が全面中止に。だが、水面下で5人は蠢いていた。ニューシングル「輪郭」からは、現在のDIR EN GREYの等身大の姿が透けて見える。
──10月10日のSHIBUYA-AX公演で復活を遂げたわけですが、8カ月以上ものブランクを経て、久々にステージに立った心境とはどういったものでしたか?
Shinya「始まる直前までは緊張もしていたし、ワクワク感もあったんですけど、いざ始まってみたら、これまで経験してきたツアーの感触をすぐに取り戻すことができました。これほど間が空いたのは初めてぐらいだと思うんですけど。」
Toshiya「“帰ってきたな”という感じでしたね。ステージに立てる喜びを改めて噛み締めたというか。」
──2月に京さんの喉が症状悪化ということで、バンドとして表立った活動をストップしましたが、その前のツアーではShinyaさんも疲労骨折を負っていましたよね。それもあっての活動休止だったのかなと思ったのですが。
Shinya「でも、京くんの喉のことがなければ休止ということにはならなかったと思います。僕はその頃には快復にだいぶ近付いていたので。疲労骨折と診断されたのはヨーロッパを回っていた、昨年9月頃の話ですから。」
──活動休止の間はどんな生活を送っていましたか?
Shinya「意識的にドラムと距離を置いていました。なるべくドラムに触らないように生活してみようと。どこかに行ったりというよりは、家の中でいろいろとしていました。おかげで家の中の片付けが進みました(笑)。精神衛生的に非常に良い時間でしたね。人のライヴを観に出かけたりして、自分たちも早くライヴをやりたいって思うようなこともありましたけど。」
Toshiya「僕はひたすら引きこもっていたので、人のライヴに行くようなこともなかったですね。楽器を触る瞬間はあったかもしれないけど、曲作りをするようなことはなかったかな。」
──5月頃創作活動を再開させたそうですが、京さんの状態は万全というところまで復活していたのですか?
Shinya「まずプリプロから始めたんですけど、リハビリがてらの作業再開という感じでしたね。歌うこと自体に問題はなかったけど、果たしてライヴでは大丈夫かなという不安はありました。」
──そして、ニューシングルの「輪郭」ですが、DIR EN GREYの楽曲の中でもかなりメロディアスなほうに分類される曲だと思います。制作当初からシングルとしてリリースすることを想定していたのですか?
Shinya「当初はシングルとか関係なく複数の曲をプリプロしていたんですけど、シングルを出すということになって、その中にはシングル向きの曲がなかったので、新たにシングルを目指して作ったと。それが「輪郭」です。」
Toshiya「もともとは誰かのボツ曲のコードから始まってるんですよ。それを“テンポはこれぐらいにして~”という感じで、そこから叩き上げて広げていった感じ。コードもリズムもどんどん変わっていって、他の曲同様、原形をまったく留めていないほどに変容しました。」
──カップリングの「霧と繭」は、1997年のアルバム『MISSA』に収録されていた曲のリメイクですね。
Shinya「カップリングとして過去の曲のリメイクを入れるのは決まっていて、いろいろな曲を試していたんですけど、なかなかカチッとはまる曲が見つからなくて、ギリギリに決まったのがこの曲だったんです。「輪郭」に時間を取られすぎてしまったこともあって、この曲は1週間ぐらいで集中的に録りました。」
──原曲とかけ離れたアレンジになっていますね。
Shinya「そうですね。テンポも全然違うので、新曲のような気持ちで取り組めたというのはあります。本当のところ、リメイクという意識すらなかったかも。」
Toshiya「もともとあるものに対して、今の自分たちの解釈を当てはめて作っていった気がしますね。懐メロにはならないように意識しました。」
──3曲目の「輪郭」のリミックスは、ホラーゲームシリーズ『サイレント・ヒル』の音楽制作を担当したことで知られる山岡 晃氏が手掛けています。どんな印象を持ちましたか?
Shinya「こんな感じになるだろうなと予想していたような雰囲気になっていました。」
Toshiya「ゲーム音楽をメインにやられてる方なんで、単純に“この音楽でそういうゲームをやってみたいな”というふうに思いましたね。ループ的な雰囲気のイメージが強い楽曲になっていたので、そこにそういう映像が入ってきたら面白いだろうなと。」
──では最後に、2013年はDIR EN GREYにとってどんな年になりそうですか?
Shinya「活発な一年になると思います。次の制作にはすでに取りかかっているので楽しみにしていてほしいです。」
Toshiya「2012年は俺たちが今まで経験したことがないことがたくさんあった年で、バンドとして、個人としてそれぞれがいろいろ考えた年でした。2013年は、その経験が活動にダイレクトに反映される年になるんじゃないかな。この経験をそれぞれがどう消化して、どのようにバンドに反映させられるか、いち個人としてどう成長できるか。2013年が終わる頃に“2012年の経験があったからこその一年だった“と言える一年になっていればいいですね。」
取材:金澤隆志
(OKMusic)
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