2014-05-05
SPYAIR、イマジネーションの先にあるもの
SPYAIRのニューシングル「イマジネーション」は、まさに彼らの十八番とも言うべき疾走感あふれる直球型ロックチューン。しかも、青春の匂いをたっぷりとまとっている。想像力と創造力を併せ持った現在の彼らに敵はない!
──「JUST ONE LIFE」から4カ月振りのシングルが登場。なんだか以前、3rdアルバム『MILLION』に向かう過程の中で、「サクラミツツキ」をはじめとするシングルが次々と生まれていった流れと重なる勢いを感じます。
UZ「ありがとうございます。前回は『MILLION』というアルバムの設計図をしっかりと描いた上で、それに沿いながら、そこに至るまでのシングルを作っていたんですね。今回の場合は、そこまでガッチガチではないんだけども、やっぱり次のアルバムの図というのがすでに描けていて、そこに向かいながらあれこれと作業を進めてきて。そんな中でちょうどアニメのタイアップの話が舞い込んできたんです。」
──ええ。この「イマジネーション」はMBS・TBS系アニメ『ハイキュー!!』のオープニングテーマでもあって。先方から何か、具体的な注文みたいなものはあったのですか?
UZ「そんなにも具体的な楽曲像が要求されたわけではなかったけども、アニメの内容にそぐわないものにはしたくなかったし、原作に触れて、そこから受けた印象に基づいたかたちで作りました。スポーツアニメだし、高校生の青春感あふれるストーリーだし、それは自分たちにとって取り組んだことのないものではないから、そういう曲を作れる自信はありました。」
──同時にアニメとの関連性はともかく、ライヴでの一体感が容易く想像できるようなストレートな楽曲でもありますよね。
UZ「前作シングルはかなりコンセプト重視で作ってみたんだけども、今回は逆に、今だからこそあえてこれまでもやってきた“どストレート”なものにすべきなんじゃないかなと感じて。それを恥ずかしげもなく思い切りやること。それが大事なんじゃないかと思ったし、実際、次のアルバムの設計図を描こうとすると、やっぱり当然のようにこういった曲が必要になってくるんです。SPYAIRを好きだって言ってくれるみんなが欲しがってるのも、こういう曲だろうと思うし。」
──まさにストライクど真ん中だと思いますよ。歌詞についてはどうでしょう? MOMIKENさんは今回、どんなことを意識して書いたのでしょうか?
MOMIKEN「ざっくりとしたところでは、やっぱり青春感みたいなもの。詞を書く上で意識したのはそこですね。アニメとかの場合、ストーリー性もキャラクターも理解しやすいから、それに沿ったものは書きやすいんですね。キャラクターが掴めるから、感情移入したものにしやすくなるというか。だけど、僕の場合その分、物語に寄りすぎてしまう傾向もあるんで、そこは少し注意を払いつつ、あくまで自分たちらしさを踏まえながら…。実際、次のアルバムに向けて歌詞がどうあるべきかというのを考えた時、テーマというわけではないんだけども、“少し大人になった上での、自分たちのストレートな視線”というのを軸にしたいなと思っていたところがあって。馬鹿みたいなことを言ってるようでありながら、実は大人になってひと回りしてきたからこそそれを真っ直ぐ言えるんだ、みたいな感覚。そこにもこの歌詞は重なってくるし、実際、高校時代とかを思い出しながら書いたところもありますね。教室の匂いとか、夏のうだるような暑さ…“汗”とか“教科書”とか、そういう言葉も歌詞に出てくるし。ただ、この曲のタイトルを“イマジネーション”に決めたのは、実はKENTAだったりするんですよ。」
──どういうことです?
KENTA「スタジオでミックスの終わった音源を聴き終わった時に、この曲のタイトルは“イマジネーション”しかないでしょう!って俺がずっとわめいてたんです(笑)。当初、“それはない。あまりにも直球すぎる”とか言われてたんだけど、俺がしつこいほど言い続けてるうちに、みんなも“やっぱりこの曲にはそのタイトルしかないかも”って言うようになって(笑)。MOMIKENも“そうか、それでいいんだ!”って目を丸くしてましたね(笑)。スタッフの人たちも含めて、もうちょっとスタイリッシュな感じというか、ちょっとカッコ良い英単語を探したりもしてたんですよ。だけどこれは、カタカナでドンとストレートにいくべきだろう、と。」
────そのストレートさこそが、SPYAIRらしさですよね!
IKE「まさに(笑)。俺も、このタイトルのあり方は単純にSPYAIRらしいなと思いました。“イマジネーション”という言葉の意味自体が好きだったし。俺らは、この曲を誰かに届けるわけじゃないですか。それを通じてみんなに何をしてほしいかと言えば、やっぱりこの言葉のように“想像”することなんです。だから、お洒落な言葉を使ったり、ひねった表現をしたりしようとするよりも、このほうがずっといいなと思った。」
──IKEさん自身、この曲を歌う時はやっぱり自分の青春の記憶と重ねながら?
IKE「そうですね。もちろん今だって青春ど真ん中のつもりなんですけど(笑)。昔、バスケ部だったんですね。その頃の汗水垂らしてた記憶と、今、いろんなことがせめぎ合ってる環境の中で自分がイマジネーションを働かせてること。それがなんとなくリンクしたところもあって。正直に言うと、バスケ部時代の俺って、ちょっと冷めてるタイプだったんですよ。というか、熱くなってる仲間たちにクールな視線を送りつつも、自分もそうならなきゃいけないという意識もあって、そこで葛藤していた感じ。そういう過去の想いと、今現在が、妙にリンクしたというか。今の自分にもやっぱり、クールに構えたがってるところはあるんですね。だけど、実際は冷めてない自分だからこそ、そんな意識が働いてるのかもしれないし。そういう感覚を歌詞にすることで、今、まさに青春の真っ只中にいるリスナーたちはどう受け止めてくれるのかな、というのを想像しながら歌いました。だから、今から楽しみなんです。みんながどんな顔をしてこの曲を受け止めてくれるのかが。」
取材:増田勇一
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