2011-09-20

LM.C、“LM.C”というものを追いかけた5年間

 初の日本武道館公演も決定したLM.Cが、デビュー5周年を記念するベストアルバム『☆★Best the LM.C★☆ 2006-2011 SINGLES』を発表。色彩豊かなロックチューンからLM.Cの過去・現在・未来が伝わってくる。


──初めてLM.Cを知る人に向けて、どんなバンドなのかを自分たちの言葉で改めて説明するとしたら?

maya 結局、LM.Cってことでしょうね。やっぱり最初の頃は未来が膨らみすぎてて、言葉で説明できなかったものが、5年やってきて、このベストアルバムというかたちになり…これを聴いてもらえば大丈夫かなって感じはしてますね。バンド名を意味のないものにしておいて、改めて良かったなと思ったりもするんですよ。だからこそ、LM.Cは何なのかと訊かれれば、やっぱり自分たち的にはLM.Cでしかないんですよね。

Aiji このベストアルバムはシングルを集めたものだし、その点で言えば、LM.Cのある側面でしかないんだけど、マスタリングを終えて、最後に通して聴いてみた時には、何て痛快で分かりやすいバンドなんだろうとは思いましたよね。それによくもここまで、外に向けて、青臭いことでも堂々と胸を張って、ブレずに徹底してやってこれたなと。貫き通すことって大事だなって改めて思いますね。その結果が5年という歴史を手にしたわけで。

──言い方が正しいかどうか分かりませんが、おふたりの考えるポップミュージックの追究がこの5年間だったのかなと思います。

Aiji 自分たちなりのキャッチーでポップな音楽とは何ぞやというのは、毎回、曲を作るたびに自分と向き合ってはいるんですけど…そういうのはあるかもしれないですね。

maya ただ、それも何ものなのか分からないイメージをかたちにしてきただけの話なんですよ。だから、ポップとかロックとか何でもいいんですけど、そう名付けちゃうと何か逸れていく気もするんですね。確かに曲単位で言えば、AとBを融合して、そこにCの要素が入るとどうなるかといったことはあるにしても、結局、LM.Cというものを追いかけていた…本当に決まり事は何もなかったし。だから、LM.Cが始まった頃から何も変わってないかもしれないし、進化したと言えるかもしれないけど、欲しかった歴史があるところにようやく到達したという意味では、ここがゼロ地点のような気もするし。何か不思議な感覚ですね。

──もちろん、ひとつひとつに思い入れがあると思いますが、LM.Cにとって、転機と言えそうな曲をあえて挙げるとするなら?

Aiji 究極はどれだと言われれば、「☆Rock the LM.C☆」だと思うんですけどね。始まりの曲だし、バンド名も掲げて、ラップ風のロックをやって…みたいな。自分の人生においても転機ではあるんだけど、LM.Cのってことで言うと、「Sentimental PIGgy Romance」みたいなアプローチの曲が、新しい扉を開いた気がするんですよ。ここから派生した…“動物シリーズ”って言ってるんですけど、そういう歌詞のスタイルが生まれたり。これは成人男子ではmayaぐらいしか歌えないんじゃないかなって本気で思ってるんですけど(笑)、mayaの声と歌詞の世界があってこそ成り立つものなんですよね。

maya 我々の場合、とにかく曲をいっぱい作ってその中から選ぶというスタイルじゃないので、できたものからやっていくしかないんですよね。その中で、「Sentimental PIGgy Romance」は行く先が見えるまで寝かせておけたというか、無理矢理進まない勇気を持てたというか…テーマが降ってくる瞬間が見えたんですよ。こういう感じで生まれてくると、音楽ってすごい力を発揮するんだなということに、改めて気付けた一曲でしたね。あとは、分かりやすいところでは「88」とかですかね、一番売れたシングルっていう(笑)。まぁ、それは冗談ですけど、「88」は状況的にも、いろんなことが回り始めた時だった気がするんですよ。これがリリースされてからワールドツアーも実現したりとか、今や国内外問わず、みんな歌ってくれる曲になって。

Aiji LM.Cの中では一番古いんですけど、自分たちの表現したい世界がある程度見えてくるまでは出せないなと思ってた曲なんですよ、ストレートすぎるから。それを実際に納得のいくかたちにできたことで、自ずと成長、バンドの表現力とかも実感せざるを得ないというかね。これがデビューシングルだったらダメだったと思うし、自分らなりのストーリー、短いながら歴史があった上でのリリースっていうのはやっぱ正しかったと思うんですよ。

──最後に収められた新曲「The LOVE SONG」も意味深い。

maya シングル集なんだけど、過去と現在だけではなくて、未来を見たいと思ったんですよ。最近はライヴでもよく口にしているんですけど、とにかくテーマは愛だったんですね。愛っていうのは分かりやすいようで曖昧じゃないですか。でも、目に見えないパワーの総称として…少し前までは宇宙とかそういう言葉を使ってたんですけど、今は愛でしかないというか。当初のタイトルは“The LAST SONG”でね。それは何か起こって、これが最後になっても大丈夫ぐらいの気持ちの表れでもあり、アルバムの最後でもあり、最新であるという意味もあり。だけど、作っていくうちに愛の部分がデカくなってきたというか…このタイトルって結構、自分の中では究極なんですよ。照れ臭いし、そんな言葉を掲げて人前に立つことなんてないだろうなって思ってたぐらいで。でも、自分の気持ちに嘘は付けないなぁと。ここに落ち着いたことで、ストーリー的にもまとまった気がしますね。

Aiji ここのところ、自分たちチーム的には愛と絆がテーマだったんですよ。それをここまで堂々と掲げて振り切ったら、また別のものも見えてくる気がするんですよね。

maya ただ、次のステップに行きたいからという理由で名付けるのはイヤで、気持ちが追いついてくるのを待ってたんですよ。具体的に5周年が見えてきた頃から、ライヴの在り方というか、その瞬間、そこに集う素晴らしさみたいなものが、愛って言葉に変わっていった気がしますね。そこでさらに震災があり、リリースやライヴが延期になったり…大きな出来事で言えば、火山が噴火して日本に帰ってこられなかったこともありましたし。そういうものが重なっていく中で、言霊が大きくなってきた感じはあるし、いろんな巡り合わせで辿り着いたんだと思うんですよね。

取材:土屋京輔

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