2011-08-20
FLOW、俺たちなりのやり方で、俺たちが今言えることを
“今、俺たちができること”。FLOWがシングル「Hey!!!」を完成させた。強烈な爆音とテンション感で闇を蹴っ飛ばすこの曲は、出口の見えない不安に怯える現在の状況へのFLOWからの答え。諦めんな、立ち上がれ!
──まずはFLOWの近況から訊かせてください!
KEIGO 先月、アメリカに行ってました。シカゴとサンノゼの2カ所でライヴをやって。サンノゼは去年に続いて2回目だったんですけど、今年はソールドアウトして。すごく良いライヴでしたね。
KOHSHI 自分たちの足跡がちゃんと付いていたみたいで、去年にも増して盛り上がってくれて。ホーム感すら感じましたよ。
TAKE アメリカでは食べ過ぎましたね(笑)。日本と比べものにならない量で出てくるけど、日本人としては全部食べきりたいじゃないですか。その生活を2週間続けたら、さすがに太ってました。
──アハハ。そんな中、ニューシングル「Hey!!!」が完成しましたね。
TAKE はい。曲の原型は今年の頭くらいにできていたんですが、アニメ『べるぜバブ』のオープニングテーマというお話をいただいて、何曲か作っていた中でこの曲が選ばれました。
──強烈な爆音で圧倒的なテンション感を持つ曲になって、ここまで突き抜けた曲は久しぶりなんじゃないですか?
TAKE そうですね。そこは今回、一番こだわったところで。とにかく自分たちらしく、聴いてテンションが上がる、元気になる曲にしたいと思っていて。ギターリフでガツンと始まる曲はバンドでも無条件でアガるし、ライヴでもハイライトになるし。最近、ピックスクラッチで始まる曲、なかったでしょ?
──聴かないです(笑)。《朝の光待てなくて暴れてんだ》と始まる歌詞も、そこから今は暗闇にいることが想像できますが。心の闇を爆音でぶち破るってのは、ロックの原点たるところだったりして。
KOHSHI 久々にアグレッシブな曲ができて良かったし、“今、FLOWが何を言えるのか?”みたいなところも含めて「Hey!!!」にまとめられたことがバンドとしても良かっですね。
──なるほど。“今、FLOWが何を言えるのか?”とは?
KOHSHI 歌詞は震災の後に書いたんですけど、震災直後は俺たちも揺れを体感しながら、結構ヘコんでいて。無力感の中で何も書けない状況が続いていたんですが、周りの人がボランティアや支援活動で動いていて、そこに勇気をもらったり、“俺たちも何かしなきゃいけない!”って思いが強くなってきて。その時、純粋に思っていたことを歌詞にまとめたのがこの曲だったんです。“俺たちは俺たちなりのやり方で、俺たちが今言えることを”っていうテーマのもとで完成した曲だったりもするんです。
──ロックバンド・FLOWとしてできることの答えが、この曲だったと。やはり、この曲の完成に至るまでには葛藤もあった?
KOHSHI 当然、ありましたね。歌詞が一向に進まなくて。“つながろう”とか絶対、俺の言葉じゃないなとか思ったり。
KEIGO 正直、“分からない”ってのが本音でしたね。自分も周りも異常な状態になっていて、何が言いたいとか、伝えたいとか、考えがそこまで至らないんですよね。それがだんだん状況が見えてきたり、周りの人が動いてるのを見たり、KOHSHIの歌詞を見たりして、やっと“俺たちはバンドだから、楽曲で示さなきゃいけない”って気持ちになれて。その後、控えていたZeppツアーで、“俺たちは元気を届けたい。五体満足で元気なヤツが元気出さなくてどうするんだ!”って気持ちになれたし、ライヴで「Hey!!!」を演って、それが間違いないと思えたし。個人的にはそんな自分の気持ちの変遷も、この曲には込められていると思っていて。
──うん。「Hey!!!」のひと言に覚悟を感じるし、“俺たちにできるのはこれしかないんだ”っていう絶対的な答えを感じました。そこにどうしても伝えたい想いを込めた、ストレートながら、すごく強いメッセージソングだと思います。
IWASAKI 僕は阪神淡路大震災を経験してるので、若干は冷静だったと思うし、何を感じて何を必要としているかってところも少しは想像できたと思うんですが。作業が始まって思ったのは、今はパズルが崩された状態だと。もう一度、新しい絵のパズルを作る時、しかるべき場所にしかるべきピースをハメるべきなんだって。そう考えた時、僕らはやっぱり、音楽をやるっていうのがしかるべき場所なんですよね。今回、熱いロックチューンになったんですけど、シンコベーションを多用してドライブ感もすごくある。人間って逆境に立った時、真っ直ぐ立っていても後ろに倒れてしまうけど、こういうタイミングだからこそ前のめりに行くんだって姿勢が楽曲にも表れたと思うんです。
GOTS この曲ができて、Zeppツアーで東名阪を回って。当たり前にやってたことが、当たり前にできる喜びがあって。“どんどん前に進まなきゃいけない”って気持ちが、また改めて生まれてきたんです。Zepp Sendaiでは夢中になりすぎて、気持ちじゃどうにもならないくらい間違えまくってしまったんですけど…。
TAKE アハハ、そうそう。ヒドかったなぁ、アレは!(笑) でもまぁ、曲ができたのは震災前だけど、震災を経てそれぞれ思うこともあって、曲にどんどんエネルギーが注ぎ込まれていった。バンドのポテンシャルとしても、“とにかくみんなをアゲるサウンドに落とし込んでいく”ってところに特化できたので、今は単純にこの曲で盛り上がりたいなって。
──Zepp Sendaiでのライヴは追加公演というかたちで?
TAKE そうです。それもZepp Tokyoでのライヴ中にZepp Sendaiに電話をして、“来月、空きありますか?”って会場を押さえて、追加公演を決めて。可能性ばかりを探って奥手になるなら、とにかく足を前に出して、できることを迷わずやっていこうって。結果、現地の人も集まってくれて、すごく盛り上がってくれて、“こういうことじゃねぇかな?”ってのは思いましたね。
──仙台で演奏して、“間違ってない”と手応えを感じた?
KEIGO はい。ライヴをやって120パーセントの確信に変わったので、8月31日には自信を持って「Hey!!!」が出せそうです。
取材:フジジュン
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