2014-06-23

Silent Siren、バンドとしての魅力が詰まった一枚 サイサイらしさを掲げて武道館へ!

 来年1月に日本武道館公演が決まり、波に乗るガールズバンドのSilent Sirenが、ニューシングル「ラッキーガール」をリリース。5月の野音でも披露されて好評だった楽曲について、武道館に向けての想いなどを語ってもらった。


 【「ラッキーガール」はツアーで成長させてレコーディング】

──新曲の「ラッキーガール」は5月の日比谷野音でも披露していましたね。《Hey! Hey! Hey!》というかけ声も楽しくて、すごくポップなナンバーに仕上がっていると思います。

すぅ ライヴを意識して作った曲です!

あいにゃん サビでは振り付けがあって、野音の時はみなさんすぐに覚えて一緒にノッてくれて。ステージからそれを見て、こちらもすごくテンションが上がりました。

ゆかるん キーボードのフレーズが結構印象的だと思いますが、すごくこだわって考えました。いろんなフレーズを試したし、そのひとつずつをいろんな音色でも試して、みんなで“どっちがいい?”って何度も聴き比べたんです。最終的にこのフレーズと音色が「ラッキーガール」には一番合っているんじゃないかということで決まりました。すごく耳に残る、印象的なものになりましたね。

──演奏は、いつもより熱くアグレッシブになっていると思いましたが、そこは意識したのですか?

ひなんちゅ そうですね。特に間奏はベースのスラッピングとかロック的な要素をもっと足したほうが、ポップな歌とのギャップが、より出て面白いんじゃないかということで。結果的に、そこもこの曲の聴きどころのひとつになりました。

──すごく前向きな歌詞ですが、作詞のクレジットがSilent Sirenになっていますね。

ひなんちゅ 最初はみんなの共作にする予定ではなくて、4人それぞれで歌詞を書いていたんです。それがたまたま仲間との友情だったり、夢に向かう応援ソングだったりと、みんな前向きなものを書いていて。今まで恋愛の歌詞が多かったので、こういう前向きなものもいいなと思ったし、4人の言葉をまとめてひとつの歌詞にしたら、よりいいものになるんじゃないかと思って共作というかたちになりました。

── こういう共作の歌詞の時は、すぅさんが中心になってまとめていくのですか?

すぅ この時はLINEで“ここはどうする?”とか、まめに連絡し合ったり、雑誌などの撮影で一緒になったメンバーと、その場で考えたりもしました。あと、練習の空き時間とかも。だから、今までで一番時間がかかった歌詞かもしれないですね。

あいにゃん そうやって時間をかけて出来上ったからこそ、すごくいい歌詞になっていると思います。本当に前向きなことしか出てこないので、演奏しながら自分でも励まされて元気になりますね。あと、今回のツアーで最初からずっとやっていた曲なので、ツアーの中でどんどん成長させることができたし、これからももっと良いふうに変わっていくと思います。ライヴで育てて、ライヴ感も乗せることができました。

── カップリングの「恋話」(こいばな)は、打って変わって切ない恋愛ソングですね。歌詞に花占いが出てきますが、すぅさんは結構こういう古風な面もあるのですか?

すぅ いえ、実際には、花占いはやったことないです(笑)。そういうイメージというか、切ない情景が浮かんだらいいなと思って、その言葉を使いました。“こっちとこっち、どっちがいい?”って、本当はどっちがいいか分かっているのに、一応訊いてしまうみたいなことってありますよね。答えは出ているのに同意が欲しいみたいな。主人公の女の子は、自分の力で想いを伝えなきゃ意味がないと分かっているんですけど、なかなか一歩を踏み出せないでいる。そういう、女の子のもどかしい気持ちを描いています。

──ミディアムテンポだけど、疾走感が感じられる演奏で、単純な切なさではないものを表現してると思いました。

ひなんちゅ 個人的には、この「恋話」が一番大変だったんです。今回のシングルの3曲の中で、一番テンポが遅いのですが、こういう遅い曲はリズムキープが大変で。そのくせして、Bメロは少し食って前のめりになっているのが難しくて。一番練習した曲ですね。

あいにゃん テンポが遅いと、細かいズレもすごく目立ってしまいますからね。グルーブに関しては、リズム隊の気持ちをひとつにすることに意識を集中して演奏しました。練習では“もっとこうじゃない?”とか、ひなんちゅと何度も話し合って。

ひなんちゅ だからこそレコーディングが終わった時は、すごく達成感がありましたね。

──ギターはアコースティックで、キーボードは少し鈴っぽい音色とフレーズですね。

ゆかるん キーボードのフレーズは、女の子がウキウキワクワクして跳ねているような感じです。かわいい音色に寄せすぎると、丸くなって聴こえづらくなるし、逆に固くするとキンキンしてしまうので、音色のバランスは難しかったです。

すぅ 象徴的なリフはゆかるんに任せていますが、その分ギターのコード進行はすごく単純です。ギターソロに入る前でクレッシェンドして、徐々に大きくなっていくところがあるんですが、個人的にはそこが好きで。すごく気持ち良くギターソロに入れるんです。

あいにゃん そのダンダンダンダンってクレッシェンドするところは、すごく難しかったですね。合わせる練習を、みんなで何度もやりました。ギターソロは私もお気に入りで、演奏中もつい聴き入ってしまいますね。


 【いろんなものを吸収しても どれにも染まらない魅力】

── そしてカップリングのもう1曲「LOST.W」は、アップテンポのナンバーで。タイトルにある“W”には、どういう意味が?

すぅ ピーターパンに出てくる“ウェンディ”“ワールド”“ワード”…“W”で始まる言葉がたまたまたくさんあったので、いろいろ意味を込めています。これは、大人になりたくないという心理状態のことを言う、ピーターパンシンドロームをヒントに歌詞を書きました。なぜ大人になりたくないのかを、自分に当てはめて考えたんですが、私は大人になることに対して、あまり良いイメージを持っていないんです。それは育った環境も関係あるだろうけど、ニュースでいろいろ見るし、メディアは伝えるべきことをネジ曲げるし、そういう大人の曇った世界が、怖いとか憎いと思ったことがあって。それは小学生の頃から思っていたんだけど…。だから、ただ単に大人になりたくないのではなくて、そういう大人にはなりたくないと歌っている曲です。

ゆかるん この歌詞は、改めていろいろ考えさせられました。きっと大人のほうが聴いて、ハッと何かを気付かされたり、忘れていたものを思い出したりしてくれると思います。2度3度聴くたびに、いろいろな発見があると思いますね。

あいにゃん 大人にならなくちゃいけない部分も絶対的にあるのですが、子供のようなピュアな感性も持ち続けていたいし、忘れちゃいけないということを気付かせてくれます。

ひなんちゅ どうせなら、頭の固い大人ではなく、いろいろな視点から物事を見られるような、視野の広い大人になりたいですよね。歌詞の世界観はそういう少しダークな部分があって、Silent Sirenの持つ明るいイメージとはミスマッチなところがあるんですが、そこが逆にいいなと思います。

──アレンジはすごくシンプルで、淡々としていてクールだけど、エモーションを感じる演奏でカッコ良いです。

あいにゃん ギターのカッティングで始まる、ああいう入り方は今までのSilent Sirenにはなかったですね。

すぅ 他の曲はギター1本でも成立するのですが、この曲はずっと同じコードを弾いています。だから、スタジオで練習している時に、例えばあいにゃんが途中でベースを弾くのを止めたりすると、どこを歌っているのか分からなくなってしまうんです。それくらい、個々のパートが重要な曲です。

あいにゃん すぅのギターだけをずっと聴いていると、ゲシュタルト崩壊しますからね(笑)。

すぅ 確かに淡々としているのですが、後半にいくにつれてどんどん高揚してく感じがあって。そこは、みんなが歌詞の流れに沿った演奏をしてくれているんです。

あいにゃん 歌詞の後半から、どんどん感情が露わになっていく感じがあって。それと並行してドラムが激しくなり、ベースラインも激しくなっていく。この曲に関しては、歌詞の内容を主体に演奏を考えました。

ゆかるん 途中でリズムが変わるところもあって、そこもサイサイとしては新しいですね。

すぅ この曲自体が新しかったので、どうせならまるごと新しいことができたらと思って、このアレンジになりました。

──さて、話は変わりますが、来年初頭には初の日本武道館が決定しましたね。ガールズバンドとしては最速とのことで、メジャーデビューからとんとん拍子で来ている印象ですが、自分たちでは現在の状況をどんなふうにとらえていますか?

すぅ 結成して4年、メジャーデビューが2012年なので、確かに早いことは早いですよね。でも、ガールズバンドとして最速ということで、バンドシーンの歴史に名を残せるのは、単純にすごく嬉しいです。でもその分、歴史に恥じないパフォーマンスを残さなければいけないと思っています。

ひなんちゅ SHIBUYA-AX、Zepp Tokyoと、一歩ずつちゃんとステップアップしてきたからこそ、武道館が見えたと思います。ただ武道館が決まったからといって、チケットを即完売できるようなレベルではまだないので、武道館を埋めるまでの頑張りや努力が、これから必要だと思っています。あと半年あるので、その間にどれだけ成長できるかが、鍵になってくるんじゃないかと思っています。

あいにゃん 武道館は夢でしたけど、すごく漠然としていましたよね。どうやったら武道館に辿り着けるのか想像もできなくて。でも、絶対に行くんだ!という強い気持ちはありました。それが今現実になり、すごく不思議な気持ちです。

ゆかるん 今からいろいろ考えていますよ。でも、その武道館までの間にも、たくさんライヴがあって。学園祭もそうだし、念願だった夏フェスにも出るし、いろいろな場所でやることが決まっていて。そういういろいろな場所で、サイサイの良さをアピールして、新しいファンを増やしていけたらいいですね。私たちのことを知らない人たちがほとんどのような会場で、いかに私たちのことを伝えていくかというのが、武道館の成功につながると思っています。だから、ひとつひとつの活動を大事にして、成長していきたいです。

── 8月12日にはみなさんが主催する『サイサイフェス』があり、8月2日には夏フェスの大看板である『ROCK IN JAPAN FES』への出演が決まっていますね。

あいにゃん 『ROCK IN JAPAN FES』は念願でした。取材でもずっと出たいと言っていたし、みんなでお客さんとして観に行ったりしていたので、決まってすごく嬉しいです。

ゆかるん でも、サイサイらしさは忘れずに、イベントごとにセットリストを考えて、違う表情も見せていきたいです!

──では最後に、そのサイサイらしさとは?

ひなんちゅ いろんなものを吸収しているけど、そのどれにも染まっていないところですね。いろんなバンドやアイドルの良いところを全部吸収したいと思って、観に行ったり、勉強したりしているのですが、音楽性や見た目、パフォーマンスも含めて、似たガールズバンドが他にいないのが、私たちの強みだと思っています。

あいにゃん 自分たちにしかできないことを追求しようというのは、音楽にしても演出的なものにしても常に考えています。それがサイサイらしさにつながり、さらにそれを貫いているからこそ、武道館にもつながったと思っています。

取材:榑林史章

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