2013-08-23

【Chicago Poodle】Chicago Poodleにとって勝負の一枚

 アルバム『3.0』の収録曲だったがPVが多くの人の感動を誘い、ファンからの要望に応えてシングルカットされる「タカラモノ」。そして、人気アニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマに決まった「君の笑顔がなによりも好きだった」。そんな2曲を表題曲に配したニューシングルについてメンバーに語ってもらった。

──ダブルAサイドシングルの今作ですが、アルバム『3.0』からシングルカットされた「タカラモノ」は“家族愛を歌った感動MV”と話題になった楽曲で、動画サイトにアップされて1カ月で再生数が42万回と。この反響をどう受け止めていますか?

山口「もともとは『メガネのタナカ』さんの創業100周年のイメージソングとして依頼された曲で、その曲がひとつのPVと出会って、こうやってここまで広まっているというのは、自分ではあまり実感できないというか…“すごいことやなぁ”って客観的に見てる感じなんですけどね(笑)。それくらい曲がひとり歩きしているっていうイメージありますね。だから、このひとつの出会いを大切にしたいと思います。長く伝えていきたい曲になったなと。」

辻本「もっとたくさんの人に聴いてもらったら、さらに広がるんかなっていう期待感もあるんで、せっかくシングルで出せることになったことだし、もっとたくさんの人に聴いてもらいたいですね。」

──さっき少し話に出ましたが、もともとはどういう曲を作ろうと?

花沢「『メガネのタナカ』さんから話をいただく前からメロディーはありましたね。僕がこの曲を作る時に思っていたのが…この曲ってAメロ→Bメロ→サビと行って、Dメロ→サビに行って、Eメロ→Fメロって行くんですよ。そういう展開の読めないバラードにしたかったんです。で、『メガネのタナカ』さんから話をいただいた時に、この曲に歌詞を付けたらどうかなって山口に提案して。『メガネのタナカ』さんからは“家族をテーマに”っていうリクエストがあって、それで山口が歌詞を制作したっていう感じです。この曲の持つ温もりみたいなものを山口が上手いこと表現してくれたなぁって思います。」

山口「この曲は展開が多いし、すごい壮大なバラードだったので、曲を聴いた時から今までに書いたことのないもの…ちょっと捉え方の違う人生観であったり、恋愛観であったり、それこそ家族について書こうって思いましたね。『メガネのタナカ』さんが提示してきたテーマも“家族”だったし。展開としては過去、現在、未来までを描いているんですけど、この曲の展開が本当にドラマチックなんで、それくらい長いスパンで人生を捉えた歌詞を書いても面白いんじゃないかなと。過去の出会いから始まって、現在で一緒に暮らそうってことになり、最後はこういうふたりでいようよっていう未来までを描いた感じです。どの年代の人が聴いても何か引っかかってくれる部分を入れたかったってのはありましたね。」

辻本「僕がこの曲を初めて聴いたのは、もう歌詞が完成していて、花沢が歌ったものだったんですけど、今までのChicagoPoodleの楽曲とは違うというか、ここまで大きなテーマで、しかもストレートな言葉で書いてるバラードってなかったなって。アルバムに入れるっていう時から、僕の中ではお気に入りの一曲になってましたね。」

──アルバムを引っ提げてのツアーで、この曲の反応はどうでしたか?

花沢「本編ラストの曲だったんですけど、泣いてくださる人とか結構いて。客席を見すぎると僕ももらい泣きしてしまうんで(笑)、歌に集中してました。僕らの中でも長く歌っていきたいってより強く思う楽曲なので、大事な一曲になったと思いますね。」

──もう一曲の「君の笑顔がなによりも好きだった」ですが、こちらは新曲?

花沢「:はい。アニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマということで書き下ろしました。『名探偵コナン』で流れるのが8月中旬から秋にかけてと聞いたので、夏の終わりから秋に合ったメロディーというのを考えて。やっぱり夏の終わりって切ない感じがすると思うんですよ。楽しい夏が終わっていく、みたいな。そういうものを意識しつつ、歴代の『名探偵コナン』の曲を自分なりに聴いてたりして、どういうものが『名探偵コナン』に合ってるのかも考えて。で、和テイストかなと思ったんですよね。なので、夏の終わりの切ない感じと、和テイストを上手いこと組み合わせられへんかなと思って作りました。」

──確かに、和テイストは感じましたけど、コテコテの和ではないですよね。

花沢「そうですね。ちょっと洋楽のエッセンスだったり、ディスコのビートとかを入れたりして、そういうものを追求したっていうのはありました。」

──では、歌詞は?

山口「歌詞もタイアップということでどういうものがいいんだろうって、かなり辻本とふたりで模索しましたね。サビ始まりなので、サビ頭は聴こえのいい言葉を持ってきたほうがいいのかなとか、いろいろ話し合いながら進めていきました。メロディーが切ないから、ちょっと切ない感じの恋愛でってのはあったんですけど、それとともに『名探偵コナン』の裏テーマとかも考えつつ…“近いけど遠い”とか、そういうことも意識しながら。」

辻本「あと、言葉の選び方とかも、難解な言葉じゃなくて話し言葉のようなもので作っていったほうがいいのかなって意識しながら、ふたりでフレーズは出し合っていきましたね。」

──《あの頃僕は 今よりもっと老けていた》は印象的でしたよ。

花沢「そこはみなさん、引っかかってくれるところで(笑)。」

山口「当時はそんなこと思ってもいないけど、思い返せばちょっと老けていたのかなぁっていうね。現実的になりすぎてて老けてて、“君”が離れていって初めて気付く…みたいな部分って男なら誰にでもあるのかなと。」

──確かに。あと、通常盤には「タカラモノ -Piano Arrange Ver.-」が入るわけですが、これはピアノ一本でやってみようと?

花沢「そうですね。ライヴでたくさん歌ってきたんで歌が熟してきたっていうのもあるし、自分的にもこのタイミングで残しておきたかったんですよ。歌も歌い直して、テンポも下げて…そうすることでより言葉と歌が聴こえてくるんじゃないかなと。そういう意味では、全然違うものが録れたと思いますね。」

辻本「ツアーでは一番の途中まで花沢の弾き語りでやってたんで、その感じですね。テンポもゆったりで、あえてシンプルにすることで、より一層言葉に全てを注ぎ込んでる感じが伝わってくるというか。個人的にはバンドアレンジのバージョンにも負けないくらいのいい感じになったなって思ってます。」

山口「僕はまったく別物として聴けたというか。弾き語りでもここまで聴けるんやなって、改めてこの曲の持つパワーを実感させられましたね。」

──「タカラモノ」「君の笑顔がなによりも好きだった」を収めた本作はChicago Poodleにとって、大きな一枚になった感じですね。

花沢「Chicago Poodleにとって今回のシングルは勝負の一枚になると思うんですよ。なので、それこそ死に物狂いでこのシングルをいろんな人に伝えていこうっていう気持ちでいっぱいです。そういう気持ちが芽生えたというか。シングルの賞味期限ってすごい短いじゃないですか。僕は長く歌い続けてなんぼやと思うんで、そういう曲に育っていってほしいと思うし、そういう2曲が収録された大事な一枚になったんじゃないかと思いますね。」

──“伝えたい”という気持ちがより強まった?

花沢「そうですね。最初の動画サイトの話じゃないですけど、ネットとかは僕らのできる範囲を超えてますけど、歌を直接歌いに行くっていうのは僕ら3人でできることなんで、このシングルを全国いろいろなところに伝えに行きたいと思っています。」

山口「このシングルを出した後には、全国行脚を予定しているんでね。細かいところまで回って、ちゃんと自分らの足で行って、生の自分らの歌声と演奏で伝えていきたいと思ってます。」

辻本「どっちもChicago Poodleらしいけど全然違うタイプの曲が入ったシングルになったので、より多くの人に届けたいですね。アニメのエンディングになるということで、Chicago Poodleを名前しか知らない…それこそ名前も知らない人にも、僕らの音楽を聴いてもらえるわけだから、この大きなチャンスを逃さないようにしたいですね。」

取材:石田博嗣

(OKMusic)


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