2014-09-03

MUCC 、MUCCが何を歌うべきか迷いがなくなった

 ビッグプロジェクト『SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争-』のファイナル、東京・国立代々木競技場第一体育館ワンマンを目前にして、シングル「故に、摩天楼」をリリース。作詞、作曲を手がけるミヤ(Gu)に楽曲エピソードとともにツアーを通して見えた核心について訊いた。

──3月から始まった『SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争-』もいよいよ後半戦ですが、さまざまな趣向でライヴを行なってきて、今、ミヤさんが感じている手応えは?

期間的には確かに長いですけど、その都度違うテーマでやっているので毎回新鮮ですね。アルバム『THE END OF THE WORLD』も去年から制作していたので長い時間をかけたんですけど、ポイント、ポイントで集中して作れたので、若干ツアーと似ているところがあるんですよね。アルバムのツアーはもう終わっちゃいましたけど、ウチらも含めてお客さんの感覚も今までと違うなとは感じました。

──アルバムの曲はライヴで聴くと、いっそう説得力があって圧倒されました。続いてリリースされるシングル「故に、摩天楼」はTVアニメ『金田一少年の事件簿R』のオープニングテーマでもあり、ズッシリしたアルバムの曲とはまた違う開けた曲調で、サウンドには清々しさすら感じられました。

アルバムに収録されている曲より前に作った曲なので、自分の中では新曲っていうイメージはないんですけど、歌詞を含めて番組サイドの方に気に入ってもらえたみたいで…。なので、タイアップだからって意識したことは特になかったんです。ただ、自分の中の曲のテーマがアニメとリンクしたのは良かったなと。

──《GOOD-BYE BOY》というフレーズが出てきますが、少年に向けたメッセージという部分もあるのですか?

いや、そういう感じではないんですけど、偶然、アニメとハマりましたよね。最初に書いていた歌詞は「摩天楼 -TV EDIT-」のほうですね。

──そうなんですね。《突き破れ そのドアを》という歌詞は停滞している今を壊そうという意味合いですか?

突き破る事実じゃなくて、突き破りたいっていう願望ですね。現実には突き破れないこともあるので…。この曲はフルサイズで聴くとまた印象が変わってくると思うんです。全てが前向きなのが果たして素晴らしいのかどうか、まだ分からないよねっていうところも含んでいる。アルバムは分かりやすいテーマがあって作った作品なんですけど、この曲はもう少し“感じる”表現が強いかもしれませんね。

──では、サウンドでこだわったところは?

アルバムがヘヴィな音楽だとしたら、今回はオルタナティブというか、アメリカよりはUK寄りのイメージです。90年代のロックバンドのテイストにしたかった。

──広がりのある荘厳な間奏も印象に残ります。

あそこはシューゲイザー的な感じですね。この曲はヴォーカルがサウンドに寄り添ってない感じにしたかったんです。

──逹瑯さんは特にサビでやさしい歌い方をしているなと。

わりと言葉が強い曲なのでヴォーカルは淡々としているというか、ふわっとしててもいいかなと。で、楽器隊は激しくパンキッシュに…っていう。そのギャップはライヴでより強く出るんじゃないかな。聴くっていうより暴れてほしい曲。

──なるほど。タイトルはなぜ“故に、摩天楼”に?

タイトルだけは後から付けたんですけど、摩天楼ってモヤがかかっている幻みたいなイメージがあるんですよね。現実の世界だけど、果たしてこれは本当なのか?っていう。答えがないゆえに“故に、摩天楼”にしたんです。

──カップリングの「Conquest」もミヤさんの作詞、作曲ですが、この曲も前から存在していたのですか?

これはツアー中に作りました。対バンツアーの時に。

──刺激を受けて作った曲ですか?

いや、ライヴの刺激とはまた別でアルバムの流れでもう1曲ぐらい、こういう曲が欲しいなと思って。

──破壊力のある曲ですが、イントロのギターはメランコリックですよね。

そうですね。イントロはレトロな響きで…基本的には怒ってる歌なんですけど、同時にすごく悲しんでいる歌でもあるから、その対比を表現してる。

──《もう とうに 臨界点 汚物まみれの世界を》という歌詞が出てきますが、悲しんでいるのはこの世界の状況ですか?

いや、これはすごくパーソナルな歌なんです。実際に気にくわないヤツがいて“俺はお前が嫌いだ”っていう怒り。それがすごく悲しいことでもあるっていう。

──ライヴで相当盛り上がりそうな曲調ですね。ツアーファイナルである9月23日の国立代々木競技場第一体育館は今回のプロジェクトのひとつの到達点だと思いますが、当初見えてなかったことで、今見えているビジョンは?

いろんなパターンのツアーをやって、MUCCが今、何を一番強く表現するべきか最近、固まってきましたね。

──どう固まってきたのですか?

(笑)。それは観てのお楽しみです。ただ、MUCCって特殊で、巨大なものなので、どの部分を表現するのか、なかなか決まり切らなかったんですけれど、今回のツアーで何を歌うべきなのか迷いがなくなりましたね。まだツアーが終わっていないので変わる部分もあるかもしれないですけど、代々木が終わったら、当分ライヴはやらないと思うから、ぜひ遊びに来てほしいですね。

──抽象的な質問になりますけど、ミヤさんにとってMUCCとは?

クソです、クソ(笑)。“Shit”です。あんまり触れたくないものに触れてるから、そういうものを求めている人に需要があるんじゃないかなって。“MUCC”(ムック)の綴りを“MUCK”に変えると“馬糞”って意味なんですよ。でも、きれいなものより汚いもののほうが美しくないですか? そういうバンドです。

取材:山本弘子

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