2013-03-20

【GRANRODEO】歌詞でならあふれる愛の言葉、音楽に偏愛してる!

 アニメ『カーニヴァル』のオープニングテーマ「偏愛の輪舞曲(ロンド)」を手がけるGRANRODEO。ヨーロッパ的な哀愁とハードロックが融合した耽美的な世界観で、女性リスナー必聴。また、カップリング曲は取材中にタイトル会議が始まる展開。リリースまで残り約1カ月どうなる!?

 【アニメバージョンとは違う! CDバージョンは世界観アップ】

──「偏愛の輪舞曲(ロンド)」は、アニメ『カーニヴァル』の主題歌ということで。

e-ZUKA「第一話の映像を観ながら、アニメのスタッフからいろいろ話をうかがって、“カーニヴァル”と“サーカス”というキーワードをいただいて、イメージを膨らませました。キャラクターの絵は女の子が好きそうなかわいい感じだったけど、映像を観たらちょっと怖いムードがあって。夜の遊園地みたいな怖さというか。『カーニヴァル』の主題歌だから、もっとキラキラな曲を予想してた人も多いかもしれないけど…。」

──イントロがアコーディオンで始まるのが、昔のヨーロッパっぽい感じ。ちょっと暗くてもの悲しいムードもあって。

e-ZUKA「そうそう。イントロはシンセだけど、アコーディオンとかバンドネオンのイメージですね。」

KISHOW「アニメのプロデューサーからは、ズバッと“カーニヴァル”とか“サーカス”とかってワードを使ってもいいくらいだと言われたんだけど、やっぱりGRANRODEOの曲として成立させたくて。そういう言葉を使わず、感じさせるようなものになりましたね。イメージとしては「We wanna R&R SHOW」のPVの雰囲気をすごく想像した。あんな感じでいいんじゃない? って。ただ、視聴者層が女性だと思ったので、耽美的な表現で愛をキーワードに入れたほうがいいと。だから、打ち合わせでインスパイアされて、タイトルの”輪舞曲”というのを入れました。そこから”輪舞曲”だけだとあまりに限定しすぎちゃうから、お得意の感じで“?とかの輪舞曲”にしたいと。それで誰かにもらった二文字熟語の辞典を取り出して、“偏愛”という言葉に引っかかったんです。偏った愛、なんかいいな、ネジれててと思って(笑)。」

──最初にアニメで流れるテレビサイズを作って?

KISHOW「最初に90秒のテレビサイズをもらって、まずその歌詞を書いて。で、次にフル尺のCDバージョンを聴いたら…普通は90秒でもフルでもAメロBメロは変わらないんだけど、フル尺になったとたん、90秒のAメロBメロになかったメロディーが足されていて。うわっどうしよう!と。」

──CDのバージョンはアニメとは違うんですか?

e-ZUKA「CDのバージョンは、テレビサイズより1コーラスが少し長いんです。というのは、途中で三拍子になったり、ハードになったり、イントロはアコーディオンでとか、要素が多い曲で…。テレビサイズの90秒は映像と一緒に聴くので、それがカッコ良くなるけど、それを1曲として聴いた場合、ちょっと展開が速すぎるんじゃないかと思って。それで緩やかにつながるようにしたんです。」

──KISHOWさんとしては、1度まとめたものに、さらに歌詞を書き加えないといけなくなったんですね。

KISHOW「そうなんです。たまに詞先で曲を作った時、e-ZUKAさんが勝手にメロディーを足して、歌詞が足りないから書いてくれって言われることはあるんですけど、曲先でそのパターンがきたか、これは新しいなと(笑)。」

e-ZUKA「3年前の「tRANCE」という曲の時は、CDではAメロが2回続くんだけど、アニメではAメロが1回ですぐBメロにいくというパターンだったんです。でも今回は、アニメサイズはAの半分、A の半分、Bの半分がないという(笑)。」

──でも、リスナーとしては二度楽しめるってことですよね。CDを買う意味が増える感じがします。

KISHOW「そうですね。昔、何のアニメかは忘れたけど、そういうのがよくあって。テレビサイズの歌詞はCDの歌詞をシャッフルしてあって、まったく違ってたんです。その時すごく面白く感じた印象が残ってるので、これを聴いてそうやって面白がってもらえたら嬉しいですね。」

──タイトルの“偏愛”って、偏った愛ということですよね。

KISHOW「そうそう。e-ZUKAさんでいうと、ギターに偏愛しちゃってるみたいな。サビの歌詞はすごく悩んだんだけど…簡単に言うと、誰かに伝えたい言葉は何もなくても、でも歌でなら言葉があふれてくるみたいな。つまり、それだけ音楽というものに偏愛しているということで、それを抽象的に歌ってる感じです。アニメ作品の世界観を踏襲しながら、やっぱりどこか自分たちのことも歌ってるものになりますね。」

──PVを観たら、KISHOWさんがピエロっぽいメイクをして いて、その印象もあって心と表情にギャップがあるというか、歌詞からもピエロのような存在を感じました。

KISHOW「そうそう。それもあります。PV撮影の時のメイクは、メイクさんとかPVの監督が考えてくれたんですけど、歌詞ともすごく合ってるなって思いました。」

──しかし考えてみれば、男女においては誰かひとりに偏って愛情を注ぐのが当たり前なので、偏愛というのは実はすごく一途な愛情なのかなと思ったり…。だって全員に愛を捧げていたら、大変なことになりますよね、KISHOWさん(笑)。

KISHOW「あ、ああ?(苦笑)。その通りだと思います。でも、そこまでは考えて書いてなかったんですけどね。」

e-ZUKA「それを言うなら、KISHOWは偏愛ではなく偏食ですね。肉しか食わないし。あと、変態でもあるけど(笑)。」

KISHOW「それは否定しません(笑)。」

──e-ZUKAさんはギターに偏愛しているとのことで。

e-ZUKA「愛とはまたちょっと違うけど。ギターは身体の一部みたいなものなので、今となってはギターがない人生は考えられないですね。音楽が好きと言うより、ギターが好きと言ったほうがいいかもしれない。よく、ギターは音楽をやるための道具ですって言う人がいるけど、僕にとってはギターを弾くための道具が曲みたいな。ライヴでギターを弾きたいから曲を作ってるところもあります。」

──ステージでギターを弾いてる瞬間が一番輝くと。

e-ZUKA「そうですね。どこででも弾いてる時は楽しいんだけど。ギターヒーロー的っていうか、ステージでは弾いてなくても、持って立ってるだけでも輝けるっていうか。」

──「偏愛の輪舞曲」でのギターのこだわりは?

e-ZUKA「最初は自分のキーで作って、最後にKISHOWのキーに変えるんですけど、変えたらAメロがBマイナーだったんです。じゃあ、7弦ギターを使おうと。7弦がちょうどBマイナーなので。それに速い曲で7弦は久しく使ってなかったから、たまにはいいなって。ただ、自分のキーで作った時に弾いていたリフが、7弦になったらなかなか弾けなくて苦労しました。指使いがまったく変わっちゃうんで。あと、そのリフは2本でハモリで弾いてるんだけど、改めて聴くと古臭くて、それがいいなって思いましたね。80年代のアイアン・メイデン的な(笑)。ちょうど何号か前の『YOUNG GUITAR』に付いてたCD を聴いた時、名前は忘れたけどどこかのバンドが、ずっとハモリでリフを弾いてて。やっぱり、またこういうのが流行ってきてるのかな? って思ったりして。」



 【その場でアイデアが次々と さすがの発想だぜ、キーやん!】

──あと、カップリングが2曲入る予定とのことで。今日(3/8昼)の時点で、まだ聴かせてもらってないんですけど…。

KISHOW「あ、1曲は今日このあとに録ります。タイトルは“桜色第2ボタン”にしようかなって。どうですか?」

──AKB48とかアイドルの曲ですか?(笑)

KISHOW「いや、マジです。少女マンガっぽいけど(笑)。」

e-ZUKA「そもそも、春の曲を作ろうというのがあって。卒業、進学、上京、新生活、別れと出会い…そういうものをテーマにした、前向きになれるような曲だから何かいいかも。」

──GRANRODEOで夏の曲はたくさんありますけど、春の曲は今までなかったのでは?

KISHOW「なかった。それに、ファンは十代とか学生が多いので、そういうリスナーに響くものになればいいなと。」

──で、今歌詞をもらって読んでるんですけど…なるほど、歌詞にもしっかり《第2ボタンの輝き桜色》と出てくる。

KISHOW「そうそう。そこは、昨日書いたんです! そうしたら《第2ボタンの輝き桜色》というフレーズが、自分ですごい気に入っちゃって。さすがの発想だぜ、キーやん! これはなかなか出ないよ!…と(笑)。《第2ボタンの輝き桜色》ということは、まだ第2ボタンは付いてるんです。好きな子がいたけど、第2ボタンをあげることができなかったという深読みもできるし。《桜が舞い散る》みたいなベタなフレーズを一切使わず、言葉だけでここまで想像させる…と、自画自賛だったわけで。でも、今、《第2ボタンの輝き桜色》って言葉にしていたら、ちょっと恥ずかしくなって来たな?(笑)。」

──でも、インパクトがあっていいと思いますよ!

e-ZUKA「“桜色第2ボタン”ってバンドもいそう(笑)。」

──歌詞の冒頭で坂道が出てきますが、これは学校の風景の定番ですごく想像が広がると思いました。

KISHOW「そういう、最大公約数的な風景を入れたかったんです。坂道を自転車で登って学校にいくとか、きっと誰もが絵を思い浮かべるじゃないですか。それぞれの思い出の風景に当てはめられるものがいいなと思って。」

──今聴かせてもらったら、曲は温かい感じかなと。

KISHOW「そうですね。でも、まずは「桜色」に集中しなきゃと思って、まだちゃんと聴いてないので(苦笑)。」

e-ZUKA「「僕たちのAnniversary 第二章」みたいなね(笑)。『ネオロマンス」』というゲームのシリーズがあって、13年くらい前かな? イベントでキャストたちが歌う用に「僕たちのAnniversary」という曲を書いたことがあったんです。そのイベントには僕もバックバンドとして出ていて、最後にそれを歌うとすごく感動的になって、いいなっていう印象があって。そういう曲をやりたいなと思って作ったんです。」

──「僕たちのAnniversary」に似てるのですか?

e-ZUKA「若干ね。でも、「僕たちのAnniversary」も僕が作ったんで、僕がいいんだから何の問題もありませんっ!(笑)」

──カップリングはもう1曲あるそうですけど。

e-ZUKA「じゃあ、今聴いてみる?」

──(スタッフがPC を取り出し曲を聴き始める)

KISHOW「…これ、イモ欽トリオじゃん(! 笑)」

e-ZUKA「いや、ジューダス・プリーストの「エレクトリック・アイ(復讐の叫び)」だよ!…って、何人分かるかな(笑)。」

──打ち込みのハードロックみたいな?

e-ZUKA「イントロはフザけてるっぽくも聴こえるけど、でもカッコ良いというのを目指してて。これはまだ分からないけど、できたものを誰かに渡して、エディットしてもらおうかなと思ってるんですよ。そうしたらもっとトランスっぽい感じになる。」

──トランスとメタルの融合は、海外で流行ってますね。

e-ZUKA「日本でもそういうバンドいるし。弊社のプロデューサーに毎回言われちゃうんですよ。“もっと新しい感じを”って。だけど、今回の3曲は何も言われてない。ってことは、自然と新しさを採り入れる気持ちになってるのかも。」

──さて、「偏愛の輪舞曲」「桜色第2ボタン」と来て、3曲目は どんなタイトルになるのか?

KISHOW「今思い付いたけど“Y.W.F”ってどうかな? ミッシェルガン・エレファントに「G.W.D」って曲があって、“がなる、われる、だれる”の略なんですよ。その方式で“Y.M.F”は“よい子、悪い子、普通の子”っていう。」

e-ZUKA「爆笑」

KISHOW「歌詞には出てこないけど、裏メッセージとしてあるみたいな。思い付きにしてはなかなかいいかも!」

──さすが、キーやん!

取材:榑林史章

(OKMusic)


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