2013-12-26
【アンダーグラフ】新たなスタイルで挑んだコラボライヴが大盛況!
アンダーグラフが新たな試みとなる音楽と映像のコラボレーションライヴ「シネマなliveのヒトトキ」を行なった。
2014年にデビュー10周年を迎えるアンダーグラフ。"その 10周年を前に、やりたいことをやってみよう!!"との試みの一つとして、自分たちの楽曲と映像によるコラボレーションライヴ『シネマなliveのヒトトキ』が行なわれた。
彼らの音楽と関連性のある曲毎の映像とが共存を見せ、相乗効果で歌の世界を更に広げさせたこの試み。その初日の東京・渋谷のMt.RAINIER ホールは、開演前から高い期待値がただよっていた。
劇場のような落ち着いた雰囲気と気品のある同ホールにて、歌や映像の世界に浸らせ、歌に向かい合い、歌に込めた想いに気持ちが同化していった第一部。共に作り出した数々の一体感や盛り上がりの中、歌に込められたメッセージに鼓舞され、諭された第二部と、コントラスト性溢れる構成だったこの日。映し出される映像毎に、各楽曲が擁しているメッセージや歌物語が、集まった者たちの目や耳を通し、更に深く、そして広がっていったのも印象深かった。
この日はステージ上のフォーメーションも斬新であった。ステージバック中央には、この日の一つの主役である<映像>を映すスクリーンが配され、それを挟み、上手(かみて)手前にドラムの谷口奈穂子、そのやや後方にベースの中原一真、ステージ下手(しもて)にヴォーカル&ギターの真戸原直人、そのやや後ろにサポートキーボードとギターという配置もスペシャルさを醸し出している。
そんな中、まずは映像とのコラボレーション部とも言える第一部が始まった。この部は、聴かせ、浸らせ、集まった各人が各々物事に想いを馳せていく楽曲が中心だった。各種の雨の映像と雨音をバックにウェットな「白い雨」からライヴはスタート。あくまでも情景的な映像も手伝い、その中でメンバーがゆっくりと楽曲に込められたメッセージを紐解いていく。続いての「2011」では、東北大震災の惨状から人々が活力を取り戻し、復興に向けてのバイタリティへと向かう写真が次々に現れ、楽曲に内包された、<諦めから希望への移行>や、<次に向かって歩き出さなくちゃ!!>の意欲を結束させる。
「浸れる曲、乗れる曲の両方の世界観を出したいから、この場所や方法でライブをやった」と真戸原。続いてミャンマーにワクチンを届けていった際のエピソードと共に、ずっと心に隠していた本音を吐露する。会場の雰囲気も手伝ってのことだろう。これまでにない本心の引き出されを、そこでは感じた。そのミャンマーでの映像と共に贈られた「空へ届け」は、レゲエタッチのサウンドの上、"この気持ちや想いよ届け!!"とばかりに歌い、プレイされたのが思い出深い。
この後も続々と聴き手に深く考えさせ、想いを馳せさせる曲は続く。「70年前の時代、愛しい人を戦場に送り出す女性の心情を歌った」と語り、歌われた「サンザシ」、夜道を彷徨いながらも、それがしっかりと次の日の朝に繋がっていることを歌と映像で示した「時薬」、また、「僕に何が出来るか、考えている。」は、オーストラリアでのフリーハグ実体験の映像と共に歌われ、自分にはいったい何が出来、何を残せるか?を考えさせられた。このホールの特徴は、各楽器を過度にPAで増幅しないところ。それも手伝い、楽曲の内包している<想い>がネイキッドに浮彫りにされていく。
「伝えたいことを、伝えたい方法で伝えることが出来た」と真戸原。曲間のMCでは次曲の背景や楽曲に込めた想い等がしっかりと語られ、それがなおのこと集まった者たちの感情移入を促していく。
真戸原が「そろそろ第二部に向けてみんなが立ち上がれる曲でもやろうか」と一言。始まったのは7月3日にリリースされた最新アルバム『7+one~音の彩り~』から「ビューティフルニッポン」だった。会場全員が立ち上がり、手拍子の中歌われた同曲。どっしりとしたサウンドの上、メッセージ性溢れる歌が会場の一緒感や一体感を集っていく。
10分の休憩を挟み、ここからは第二部。彼らの躍動的な部分や歌と演奏によるお客さんとのコミュニケーション面がここからは引き継いでいく。
谷口の力強い4つ打ちと手拍子の中現れた「やっぱり地球は青かった」では、"さぁ、アンダーグラフ号で一緒に次の旅に出よう!!"と会場を誘い、自分の生まれたこの素晴らしい星、地球への慈しみを溢れさせる。同曲では谷口もふくよかなコーラスで楽曲を大きく包み込んでいき、"そうだ、もう一度自分達の手で、美しい地球を取り戻すんだ!!"、そんな気概が高まっていく。また、真戸原もギターを置きハンドマイクで歌い、会場を更に高みへと誘った「スカイホール」。また、エモーショナルに歌われた「ハイスピードカルチャー」では、レーザー光線やストロボも炸裂。同曲の聴きどころは、やはりリズム隊のグルーヴィーさ。それらが醸すダンサブルさが会場を躍らせる。
ここからは更なる盛り上がりゾーンへと突入していく。この日のスペシャルゲストとして「素敵な未来」のMVで共演した須賀貴匡が、役柄も同じギタリストとしてステージに立つ。ギターをプレイする須賀。ストリングスの音も交じり、ドラマティックに同曲が会場いっぱいに広がっていく。そして、彼らのデビュー曲でもある「ツバサ」がここで登場。この10年、変わったこと、変わらなかったことにみんなが想いを馳せる。あれから10年。この歌は今、自身やみんなの中でどのように響き、育ったのだろう? 続いては対照的に11月20日にリリースされた最新シングルから「風を呼べ」が放たれる。彼ら史上最もスピード感と疾走感を擁しているナンバーに会場も大盛り上がり。作品での声優が担当したラップ部も真戸原が担い、勢いのある楽曲が、そのリリックの勇ましさと絶妙なブレンドを見せ、更なるシフトアップが成されていく。ここでは中原もベースでドライヴ感を寄与。会場を走り出させていく。本編ラストは、これまた最新アルバムから「愛それは愛」。真戸原もハンドマイクで歌い、愛の本質と込めた想いがホール全体に響き渡っていく。
アンコールは3曲。どれも今後の彼らの幅やバリエーションを感じさせる曲ばかりであった。谷口が初ヴォーカルを担当した「旅する花の物語」では、カントリータッチの牧歌的な雰囲気の中、彼女の優しく柔らかい声質がベストマッチを見せ、続く、一足早いアンダーグラフの年末年始ソング「去年今年(こぞことし)」が雅やかに広がっていけば、ラストは京阪電車新CM曲でもある「明日は続くよどこまでも」が。アンダーグラフ史上最も明るいとされる、楽しくてポップ、まるでパレードしたくなる、これまでになかったタイプの楽曲だ。最後には今後もしっかり明示してくれた彼ら。来たるべき10周年を前に、キチンと今とこれからを見せてくれたその勇姿は頼もしかった。
この形態でのライヴは2014年1月31日(金)の名古屋・今池BOTTOM LINE、2月 8日(土)には大阪・梅田AKASOでも行なわれる。歌世界や歌に込められたメッセージがよりネイキッドに、そしてストレートに伝わってくるこの新しい試みを是非これから各所で体験して欲しい。
ライター:池田スカオ和宏(LUCK'A Inc.)
■【セットリスト】
<第一部>
01. 白い雨
02. 2011
03. 空へ届け
04. サンザシ
05. 時薬(ときぐすり)
06. 僕に何が出来るか、考えている。
07. ビューティフルニッポン
<第二部>
08. やっぱり地球は青かった
09. スカイホール
10. ハイスピードカルチャー
11. 素敵な未来
12. ツバサ
13. 風を呼べ
14. Sekai-no-Kibou
15. 愛それは愛
‐Encore‐
En-1. 旅する花の物語
※京阪電車オリジナルDVD「京阪電車から富山地鉄へ奇跡のダブルデッカー車ものがたり」エンディング曲
En-2. 去年今年(こぞことし)
En-3. 明日は続くよどこまでも
※京阪電車「おけいはん」新CM曲
■「シネマなワンマンツアー2013~2014 『シネマなliveのヒトトキ』」
1月31日(金) 名古屋 今池BOTTOM LINE
2月08日(土) 大阪 梅田AKASO
※ゲスト:中之島けい子(5代目おけいはん)
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