2016-07-12
怒髪天50歳イヤーを彩る“長い夜”に家族や友人、そしてあの方もご光臨!
怒髪天主催の北海道限定イベント『カムバック・サーモン2016“もっと愛されたくて半世紀”』が、7月10日(日)に札幌ファクトリーホールで開催された。本イベントは、4月の札幌BESSIE HALLを皮切りにスタートした全国ツアー『怒髪天TOUR 2016 ジャパニーズ中年隊~YOU、50プラス1本やっちゃいなよ』において、プラス1本に位置づけされるもの。驚異のロングツアーもいよいよ終盤戦にさしかかる最中、ここ札幌に再び怒髪天が戻ってきた。
フロアには、“マトンステージ(メインステージ)”・“ラムステージ(サブステージ)”、そして室内なのに、まさかの盆踊り用やぐら“やん衆どすこほいステージ”を設置。壁には紅白幕が垂れ下がり、屋外のフード・ドリンクエリア<増子家のジンギスカン>や<坂詰家の塩ラーメン>といったメニューが用意されるなど、すっかりお祭りムード。
早くも賑わいをみせる場内に、北島三郎の「まつり」のSEと共に、やぐら上にメンバーの増子直純(Vo)、上原子友康(G)、清水泰次(B)、坂詰克彦(Dr)が法被姿で登場。「今回は親族が出てきたりと、見所がいろいろあるからね。カムバックサーモン2016、はじまるよ!」との合図と共にイベントがスタートした。
まずは、ラムステージで行われる本イベントの最初の見所、各メンバーの友人と親族によるユニットライブから。チューニングがずれるハプニングで爆笑を生んだ、坂詰と親友による“ウディとジョー/国道5号線”をスタートに、緊張する甥っ子、姪っ子を「かわいいだろう!」と、自慢をしながらの清水一族と友人による“超魂(なまらマブイ)”、「80歳になる父が兄弟で何かやるのが見たい!」という言葉に人肌脱いだ、増子と実弟の増子真二(DMBQ、BOREDOMS)による兄弟ユニットと、立て続けに登場するメンバーの親族や友人たちとの貴重な共演に、場内からは笑いと温かい拍手が沸き起こる。ファミリーユニットのラストを飾るのは、「似てる!」とどよめきに近い歓声が上がった、上原子の双子ユニット“上原子もいる・もえる”。森田公一とトップギャランの「青春時代」で、盛大な手拍子と共に本イベントの親族の部を締めくくった。
そして舞台はメインのマトンステージへ。登場SEと共に怒髪天がステージ上に立つと、フロアの歓声が大きく膨れ上がった。「サスパズレ」のシンガロングからの、ライブアンセム「酒燃料爆進曲」で勢いづくと、「無敗伝説」、「オトナノススメ」とあっという間にフロアのテンションをマックスへと引き込んでゆく。
増子の軽快な時事ネタMCで爆笑をとりながら、アップテンポの「明日への扉」、「鰯ヘッドBOP」、「ドリーム・バイキング・ロック」、「プレイヤー1」を連打。怒濤のツアーを疾走する中で、またもや強度を増した怒髪天の男のサウンドに、フロアの熱も高まる中、さらに「天誅コア」、「NINKYO-BEAT」、「69893」と痺れるハードナンバーを矢継ぎ早に投下するという、フルスロットル体制。熱気に包まれた場内をぐるりと見渡し、「屋内にやぐらを組むなんてさ、すごいイベントだよなぁ」とステージから見た光景を改めて確認して笑う増子に、場内からも大きな頷きと共に拍手と笑いが返ってくる。
そして、ライブは驚愕の展開へと向かって、加速してゆく――。「せかいをてきに」、「歩きつづけるかぎり」、「ひともしごろ」と、前を向いてひたすらに生き、そして進んでゆくというメッセージを解き放ち、突き上げた拳がフロアに広がる絶景を生ませた後、「故郷はやっぱり力が入るよね。同じような飯を食って、同じような水を飲んで育ったんだからさ、説明しなくても伝わるものがあるよね」と増子。
万雷の拍手の中、「せっかくだから、故郷っぽい曲をやりたいと思って。カバーなんだけどさ」との言葉と共に、披露したのは松山千春の「長い夜」。
ここでついに、本日の最大の見所、とんでもサプライズが発動された! 増子が熱く歌い上げていると、なんと舞台袖からご本人・松山千春が登場! 本人による伸びやかな歌声が深く響く中、このまさかの展開に、どよめき、悲鳴、そして大歓声が沸き起こる。「感動」という言葉だけではくくれない、幾重にも重なる分厚い感情に、フロアが当然のごとく激しく揺れた。
「怒髪天っていう名前はさ、嫌な名前だよな! オレ、怒髪ないんだからさ!」とジョークを交えながらも、メンバー全員と握手を交わし、松山千春は「日本だけではなく、世界に羽ばたけ!」と怒髪天に熱いエールを残し、颯爽と舞台を去って行った。
「いやぁ、現実味がない」。再びメンバーだけになったステージ上で増子がしみじみ言うと、「小6の時に留萌で見た松山千春さんのコンサートがきっかけで、ギターを始めたんです」と上原子も感慨深げ。カラオケでよく歌うという坂詰は、アカペラで松山千春の「ひとりじめ」を歌うも、途中で感極まってリタイア。爆笑するメンバーに、目をうるませながら「いやぁ、感激しちゃって」と照れ笑い。それぞれが松山千春の光臨の余韻に浸りつつ、「サスパズレ」で一度本編を締めくくった。
アンコール曲は、生きるほうが辛い現代において、それでも生きてゆくことをストレートに力強く宣言した「セイノワ」。ピースサインがフロア全体を埋め尽くし、最高潮の盛り上がりの中、メインステージの怒髪天ライブは終了した。
夏フェスではおなじみの、祭太郎による口上の後、再びやぐらに上がった怒髪天。「ニッポン・ワッショイ」と共に行ったのは、本日最後のイベント、盆踊り。
少年時代の顔になったり、叔父の顔になったり、兄の顔になったり、弟の顔になったり。いくつも表情を変えた『カムバック・サーモン2016“もっと愛されたくて半世紀”』は、フロア内を観客が盆踊りをしながらサークルを描くという、これまた愉快な光景の中、「こんなカオスな日がくるとは思わなかったよ。北海道だからこそできたイベントだよ。また、絶対にやろう!」と増子が声を上げ、大団円。積み重ねてきた30年を超えるバンド人生と、そんな彼らを愛してやまない道産子たちの熱量がクロスする長い夜は、祝祭感たっぷりの中幕を閉じた。
Text by 悦永弘美
【セットリスト】
01.サスパズレ
02.酒燃料爆進曲
03.無敗伝説
04.オトナノススメ
05.明日への扉
06.鰯ヘッドBOP
07.ドリーム・バイキング・ロック
08.プレイヤーI
09.天誅コア
10.NINKYO-BEAT
11.69893
12.せかいをてきに
13.歩きつづけるかぎり
14.ひともしごろ
15.長い夜
16.サスパズレ
EN.セイノワ
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