2012-09-20

【Linked Horizon】音楽だけを取り出してもちゃんと楽しめるエンターテインメント作品になっている

 いよいよ全貌を表した“ルクセンダルク紀行”。SQUARE ENIXのRPG『BRAVELY DEFAULT』とコラボし、Linked Horizonとして作り上げた音楽世界についてRevoに訊く!

──シングル「ルクセンダルク小紀行」に続き、アルバム『ルクセンダルク大紀行』がリリースされましたが、まず“ルクセンダルク紀行”はリンクしているSQUARE ENIXのRPG『BRAVELY DEFAULT』の物語に対してどんな位置付けになるのですか?

ゲームの舞台となっている世界が“ルクセンダルク”なんですね。そこにまつわるお話ということにしているので、ゲームの世界観とはリンクしています。ゲームの音楽も全部僕が作っているので、それを基にアレンジを施したものが、この“ルクセンダルク紀行”のシリーズというかたちですね。

──そんな本作の1曲目「Theme of the Linked Horizon」なのですが、これはタイトル通りにLinked Horizonのテーマソング?

1曲だけゲームとは関係のない曲として入れてあります。先にシングルはありましたけど、Linked Horizonとしての最初の作品になるので、“Linked Horizonとは何か?”を歌で体現してみるのもいいかなと思いまして。基本的に何かの作品とリンクして音楽を作っていくため、オリジナルの楽曲がないに近いのでオリジナル曲を1曲だけ持っておきたいってのもありましたね。

──では、2曲目「ルクセンダルク紀行」からゲームの世界になると。この曲は登場する国の紹介をしたという感じですか?

はい。ゲームの中で使用しているそれぞれの国の音楽を“Vocalized Version”という歌モノのバージョンにして、さらにメドレーにすることでガイドブック的なもの…“紀行”という感じを出しておこうと。アラブっぽい音楽になっているのは砂漠の国だったり、冷たい感じの音がしているものは寒い地方の国だったりします。

──ゲームで使用した音楽が歌モノになっている“Vocalized Version”の曲は他にもあるわけですが、このアルバムのことも想定してゲームの曲を作られていたのですか?

それはまったくしてないですね。一部、よこしまな考え方で…キャラクターのテーマソングみたいなものは、歌が乗ると映えそうだなっていう作り方はしたんですけど、街の曲とかまでそういうことをしてしまうと本末転倒になってしまうんで、純粋にゲームのことだけを考えて音楽を作ってます。なので、歌を乗せようにも無茶なメロディーだったりして、結構大変でした(笑)

──10月10日にはゲームのサウンドトラックアルバム『ブレイブリーデフォルト フライング・フェアリー オリジナル・サウンドトラック』も発表されるので、聴き比べるてみるのも面白そうですね。

純粋に歌モノにするだけでも空気感が変わりますからね。Linked Horizonとして出すものにもインスト曲はあるんですが、“Long Version”になっているし…例えば、2分ぐらいの曲をもう1回繰り返して4分の曲にしているだけだったら、それこそ“金返せ!”ってなるので(笑)、別の曲がくっついている分ぐらいの展開がどの曲にもありますね。“Piano Solo Version”や“Strings Quartet Version”にしても、その楽器のアレンジに変えたということなので、原曲とは完全に違うものになっていたりします。

──ゲーム用に作った曲をアルバム用にリメイクする時は、ゲーム機では限界があると思うので、音をさらに加えたりとかもされたのですか?

そこは変わらないんですよ。ゲームのサントラをものすごく全力で作った…まぁ、携帯ゲーム機なので、鳴り方の部分で迫力のある感じにはならないんですけど、その時点からちゃんと作ってあるんですよ。そこに歌を乗せればちゃんとしたクオリティーになるので、そういう意味ではあまり違いはないですね。逆に歌を入れる…それこそ“歌う人は誰がいいんだろうか?”っていうところなどで苦心したのはありましたけど。歌が上手ければいいっていうもんじゃないですからね。楽曲の持っている世界を引き出してくれる人に歌ってもらわないと。

──「雛鳥」は普通にポップスとしても成立しそうな楽曲ですが、それもゲームの世界に沿ったものになるのですか?

それはさっき言ったキャラクターのテーマソングみたいな曲なので、意識してキャッチーにしているんですよ。その場面の空気感を表す曲にする必要性がないから、もっと象徴的なものっていうか、キャラクターが持っている普遍的なものが出せればいいので。キャッチーに聴こえる曲はそういうもので、そう聴こえない曲はゲーム内のイベントシーンに関わるものですね。

──Sound HorizonはRevoさん自身が物語から全てを作っていたわけですが、今回のように基となる物語があった上で音楽を作ってみてはいかがでしたか?

設定自体は僕が作ったものじゃないので、勝手に変えられないわけですけど、そこに対して真面目に取り組みたいと思っていたんですね。例えば、こっちの言葉のほうが歌に乗りやすかったり、こういう展開のほうが曲に合うってなっても、だからって設定を変えちゃダメっていう。自分で物語を作ってたら、そういう部分は変えちゃってもいいんですよ。自分しか知らないことなんで。曲作り以前の問題でゲームの世界観やプロットがあったんで、難しいものはありましたけど、そこが面白さのひとつというか。簡単なことしかやらなかった場合って、物作りの人間としては充実感があんまり得られないんですよ。やっぱり難しいことができた時に充実感って得られるので、そういう意味ではやり甲斐がありましたね。

──そして、このアルバムの再現ということで、11月に横浜アリーナでのコンサートが控えているわけですが。

このアルバムだけじゃなくて、サントラも含めてなんで、その音楽をがっつりと聴かせるコンサートになりますね。歌モノはもちろんやりますし、激しいインストもやるし、オーケストラの曲もやるので、総勢100人ぐらい出るのかな。総力戦でこの世界観を音楽で届けようと思ってます(笑)

──Sound Horizonとはまた違ったライヴになるのですか?

あまり演出っぽい考え方をする必要はないと思っているので、普段のライヴと労力のかけ方が違う…音楽のコンサートなんで、それが当たり前なんですけど(笑)。無理にストーリーを伝えるものにはしないつもりなので、純粋にこの音楽を楽しんでくださいっていう感じですね。いい音楽を作ったつもりだし、ただのゲームの添え物じゃないっていうか、音楽だけを取り出してもちゃんと楽しめるエンターテインメント作品になっていると思っているので。

取材:石田博嗣

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