黒ずんだ桜の花びらに 閉じ込めた一枚の写真
都会の海で生まれて落とされた 濁る笑みと黒い嘘
用済みの枯れ落ち葉たちと 温室に吹く冷たい息
そして訪れた必然の死が 僕の心に残った

路上に散らばった 誰にでも起こりえる罠
無機質なガラス破片 表情変えず突き刺す

今日も隣町のどこかで 捌け口は新たに生まれ
翼のない小鳥の列が 絶望の屋上へと続く

新緑のつぼみは春と 戯れて高らかに笑う
向日葵の揺れる丘には 何食わぬ顔の加害者

自責の海底 もがくあなたに罪はないのに
時経ち幾度の四季を越えても鳴き止まない

今日も隣町のどこかで 捌け口に新たに生まれ
また一つ増える蝉の声 嘆きの蝉時雨が降る

人知れず覚悟して 桜見ずあの子は消えた
か細い悲鳴は黙殺されて消えた

真冬に降る蝉時雨 屋上の足跡濡らす
悲劇は決してなくならない
それは変えられない摂理

今日も隣町のどこかで 捌け口は新たに生まれ
また一つ失った命に 嘆きの蝉時雨が降る


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