入(い)らずの森の奥 小さな馬小屋に
眠る漆黒の 髪を持つ少女

物心のついた おさな姫の頃
好いた継母に 森へ捨てられた

噂聞き憐れんだ王子や騎士らが
我が妻に娶ろうぞと果敢に挑んでも

風さえ通さぬ静寂の籠城
頑なに拒む死の棺
森のざわめきが彼女の痛みを
遠ざけて辿り着けない

誰も眠り姫を救うことは出来ない
童話の終わりなんて本当は誰も知らない

永き刻が経ち 皆の記憶から
少女が消え去っても 童話は終わらない

恐らくはどれほどの王子や騎士らも
凍て付いたその心を溶かせはしないだろう

夢見る少女の創られし夢は
憂き世を儚む幻で
白馬の騎士など迎えに来ないと
知りながら目覚めを待った

誰も眠り姫を救うことは出来ない
童話の終わりなんて創り変えればいい

何時の日か艶めいた漆黒の髪が
柔らかな風に触れ少女は目を覚ます

風さえ通さぬ静寂の籠城
頑なに拒む死の棺
森のざわめきが彼女の痛みを
遠ざけて辿り着けない

夢見る少女の創られし夢は
憂き世を儚む幻で
白馬の騎士など迎えに来ないと
知りながら目覚めを待った

誰も眠り姫を救うことは出来ない
童話の終わりならば自分で創ればいい


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