硝子の花束を抱えきれず
僕らは立ち竦む
何か一つここに
捨てて行こう
君はそっと呟く

憧れの樹の
梢に残る結び目を
解きたい

手の中にある歌も
春のいのちの冷たさも
静かな砂の上で
君が夢に灯した
遠いあかりも

全てが消えて行くことが
ふいに微睡むように
優しい

獣の声を上げ
呼び合っては
ひとりきりで笑う
僕らの寂しさに
どんな花を
誰が泣いてくれるの

懐かしい朝
透明な場所で生まれたと
信じたい

立ち枯れてく心を
春の涙に手向けよう
虚ろなままの胸は
空の全ての色を
見つけられるよ

昨日の花束を踏みしだいて
僕らが行く
荒野で


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