この部屋は枯れることの無い花に彩られて
今もまだ鮮明に残る在りし日の情景
その花の名を君に問う僕に
手を休め君はこう答えたんだ
この花は僕でそして君なのさ
微笑みを浮かべこう答えたんだ
もう笑い方も覚えてない
この部屋はあの日から何一つ変わらなくて
手に取る筆にのせて紫はあの日君が混ぜた花の色
君が生まれた日の花の色
まだ僕にはあの花は描けない
君が残したノートからそっと
零れ落ちたそれは僕に君からの
最後のメッセージだった
少しだけ君に触れた気がするんだ
乾き切ったパステルが僕の中を写してた
頬を伝う水滴が溶かしていった
またここであの花の絵を描こう
あの日君が混ぜたあの色で
今度は僕が描いた花の絵を君のために
また君が帰って来れるように
この部屋の扉を開けておこう
パレットもキャンバスもあの色も大切に
取っておいたから
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