泣ク事ナカレ

今頃　僕の「最後の言葉」が　君の手に届くころかな?
愛しき人よ　「泣ク事ナカレ」次の春　この場所で　また…
会えると信じて

広がる戦火　焼かれていく人の群れ　擦れた叫び
途切れる音から聴き取れるのは　国を讃える軍歌
明日　失うこの身体　恐怖に怯え
震える僕を　強く　優しく　抱きしめた人

この場所で　今は亡き竹馬の友と戯れ
この場所で　喜びも悲しみも分かち合った
この場所で　その友の変わり果てた身を抱き
そして今…僕の手を包む　優しい手

愛しき人よ　「泣ク事ナカレ」　この僕の魂はまた次の春には
刹那に萌ゆる桜と成って　この場所でまた会えるから
優しく言い聞かせ…

母無き子の声　子を呼ぶ母の叫び　脳裏をかすめ
明日　僕は全てを捨て国にこの身を捧ぐ

今だけは争いも憎しみも忘れて
この丘に咲く桜を　君と二人見上げていたい
喜びも　悲しみも　憎しみも　全て知った
この木々は弔いの花を湛えてる

愛しき人よ「泣ク事ナカレ」　次の春　この場所でまた会えるから
ひらりひらりと散る宵桜　消えないで　消えないで　まだ…　もう少しだけ
見上げる君の　涙の痕が　消えるまで　消えるまで　まだ…　もう少しだけ

「泣ク事ナカレ」
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