雨降り 駅から走る塾までの距離
突然 黒い傘を差し出されて
「ありがとう」って言いながら髪型気にする一人の少女

寒い冬の日はストーブつけて チンプンカンプンの数学
先生はうたた寝
雨もりの音 ポツリポツリ響く部屋で 先生はうたた寝

外はこんなに寒いのに こわれそうな教室は
温かさで包まれていた
雨の音 ポツポツリ

ずぶ濡れになったあの人は
「お茶にしようか」って おやつを手に持ってる
まるで 花が咲いたみたいね
やかんの湯気 妙に白く見えたんだ

外はこんなに寒いのに こわれそうな教室は
温かさで包まれていた
時計の音 コツコツリ

あの人ポツリと来なくなった
渡しそびれた赤いお守り
かばんの底で待ち焦がれていたのに
もう春が来る

壊れかけた戸を開けて
私は「お茶にしようか」ってやかんを降ろした
湯気でめがね曇る人を笑って

今日も靴箱にかかった 黒い傘
もう春が来る… 。


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