とても美しい羽根で空を舞う蝶がいた
虹のような輝き 誰もが彼女を愛してた
決して驕らない気高い心で 幸せを振りまいた
茜色 穏やかな夕方に悲劇は訪れ
カマキリの刃(やいば)が羽根を引き裂き 彼女は真っ逆さま
命からがら逃れた彼女を待っていた
皆の視線は気を遣うようでいて逸(そ)らされた
二度と飛べない運命(さだめ)を抱えて やがて孤独の道へ
憐れにも 皆が愛していたのは美しい虹の羽根
蚊のような細い身体ひとつ 常闇(とこやみ)の森で
そしてフラリと現れた別の蝶が何も言わずに
自分の羽根を片方ちぎって差し出す
それからはお互いの肩を組んで空を舞うつがいの 蝶の姿
見た者は心が洗われたという
そしてまた風に流れるのは幸せの粉粒(こなつぶ)
もし僕ならば彼女に何を贈れた?
片方の腕か これ見よがしの哀れみか
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