裏姫

有罪:島流しの刑
有罪:火炙りの刑
有罪:磔の刑
有罪:首斬りの刑


「拝啓罪人サマ…ー一歩前へ。」

【第壱乃貢】
残首を転がす小さな子供
鬼は焼却されては埋葬されては
×されました…桃の子に
正義の讃える団子と悪を突いて
頬張り喰い散らかせば
「沈め。鬼ヶ島。」

【第弐乃貢】
綺麗な釜戸「おや?狼さん…。」
老婆の格好しながらこんがり焼けていました
「…ゴミの日に。」
～歓喜の聖者を奉れ～
悪を潰した恍惚少女は絶頂
「名を…赤頭巾。」

可哀相にね、お姫様 矛盾で傷が沁みる
裏の裏側に隠れた貴女「みつけた。」

裏姫…啜り泣く彼女は闇の姫君
裏姫…ヒラヒラと黒のドレスを靡かせ
裏姫…切り裂いた世界の返り血浴びて
可愛い頬っぺたが真っ赤になります

筋書き通りにヒロインが悪者を足蹴に抱き合っています
紛れも無くスプラッター映画のようなその光景に
彼女は困った顔をしながらこう言いました
「つまらない…。」


【第参乃貢】
斬首に群がる可愛い小人
魔女が断頭台の刃に映る
「鏡よ鏡よ…鏡さん。」
～世紀の美貌を奉れ～
悪を葬り去った王子の接吻は薫る「…毒林檎。」

影から産まれた姫様 世界の傷を知った
裏の裏側に隠れていた貴女
「みつけた。」

裏姫…可哀相 涙で濡れた黒髪
名も無き姫君 大鎌を振り回せば

裏姫…啜り泣く彼女は闇のカリスマ
裏姫…禁忌の児 世界の傷を背負った
「裏姫…可哀相。」
貢を捲りながら絵本の中、そっと願い込めた