夏荻の紅紫の花 咲いたら
緑には飽いた 木々は色気づき
夏虫や兵どもが 泣き止んだら
コロロコリー乞う音の調べ
やまと歌を 名月の花に詠う
冬構へし 無可有の郷に響く
小夜すがら 心さまざまに打ち交じり
コロロコリー交う音の調べ

空が詩を釣り 色を釣り 心恋しい作り声
ちらばら ひんやり 長雨の空
月に日に異に 我が人が埋もれ草
コロロコリー高音の調べ
誘われて聞き耽て 返り声
君の香いを 乞う音の調べ

月に叢雲 花に風 心寂しい作り言
うやもや ぼんやり眺め空
鳴き虫捜す 隠れん坊
左見右見 戦ぐ歌
噛み締めてく 

戯れ歌止んだら冬化粧
染み透る 路も狭に
踏み締めてく

空が詩を釣り 色を釣り 心恋しい作り声
ちらばらひんやり 長雨の空

ああ また秋が焼け落ちては
落ち葉の雨も 染め分けられる
ああ また草の緑を探そう
彼れ是れ 何処其処と 移ろい行き
葉衣音に惹かれるように
ひらひらり
赤き空へと消え往くは コロロコリー


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