澄み渡る夜の寂莫に
月が光っておりました
星も幾つかありました
夜を照らしていたのはそればかり

僕は自転車漕いでおりました
六速式の最新兵器
鼻歌のひとつも歌いながら
順調に漕いでおりました

緩やかに景色と混じっていった
体は風のように

両の手のひらは広げたまま
どこまでも行けるような夜でした
空に光る月でさえも
この手に掴めるような

今頃きっともう君は
眠りについて夢を見て
ただそれが幸せな夢でありますように

両の手のひらは広げたまま
どこまでも行けるような夜でした
空に光る月でさえも
この手に掴めるような
そんな夜の寂莫でした


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