暑い夏のよくある光景
死にかけた蝉が転がっていたんだ

もうどうやら飛べないその蝉は
必死で指にしがみついてきた

ぼろぼろでもまだ目だけはぎらぎら燃え上がってるようだ

蝉の見ている世界のほんの隅っこさえ
僕の姿はこれっぽっちも映ってはいないような感じだった

蝉の羽根は限界だった
それでも空に焦がれるのだった

一見馬鹿にも思える光景
無理だというのが解からんものか
諦めようとはしないのだろうか
それでもその姿に僕はどきどきしたんだ
僕には真似できない生き様だった

蝉の目はただ真っ青な空だけ映していた
蝉の目はただ真っ直ぐに 空だけ見つめていた
鳥肌が立った


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