私があなたに惚れたのは ちょうど十九の春でした
いまさら離縁と言うならば もとの十九にしておくれ

もとの十九にするならば 庭の枯木を見てごらん
枯木に花が咲いたなら 焼いた魚も泳ぎ出す

私があなたを想う数 山の木の数星の数
三千世界の人の数 千里浜辺の砂の数

一銭二銭の葉書さえ 千里万里の旅をする
同じ日本に住みながら 会えぬ我が身の切なさよ

雲の切れ間に満ちる月 あなたはなんて薄情なの
想い願いは幾度なく 会えぬ月日はいく日か

奥山ずまいのウグイスは 梅の小枝で昼寝して
春が来るよな夢を見て ホケキョホケキョと鳴いていた


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