はぐれたんだ きっと
移動遊園地かサーカス隊の
奏者なんだ きっと
服も爪も靴も黒尽めだよ
どんな眼をしているの
深々とかぶるハットを上げてよ
月灯りは そっと
寂しげな口元だけを照らして
細い指をしなやかに弾ませ
アコーディオン 寂しい音色を絡め取り唄う
「言葉の波を断ち
身体をも棄てさり
黙していようと決めたのさ
あなたの視野には入らぬ様に
こんなにも正しく
こんなにも哀しい
献身な裏切りをどうか
時には愛して欲しいのです」
その歌が耳の奥
いつまでもいつまでも焼き付き
夢にまで見るうちに
好んで黒尽めになっていた
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