暮らし香る風 君のなびいた髪は
夕暮れの街 泳ぐさかな
掴みかけてもそう 君はただ微笑んで
するりとこの手を抜ける たやすく

僕のサンダルを履いた君と 降りる坂道
器用に指の先だけ使い その手つないでいた

買い物を終えたなら 君は鱗はりかえ
翻しまた 僕に向けるの 知らないあの背中を

ひたすら無邪気な子供染みた顔
たしなめるような大人の顔を持って
気まぐれなふりをしてわかっていて
踏み込む事をも許さない

暮らし香る風 君のなびいた髪は
コンクリート彩るさかな
掴みかけてもそう 君はただ微笑んで
するりとこの手を抜ける たやすく

色のなかった日々を 染める青いスカート
時を止めたい 繋ぎとめたい なんてまた飲み込む

約束をうまく交わさない様に
隙間縫うような会話にも慣れた
全てが消え去る 終わりのボタンは
いつでもむき出しのまま

流されるままに ゆらゆら揺れる恋に
辿りつくべき海はなくて

暮らし香る風 君のなびいた髪は
夕暮れの街 泳ぐさかな
流れに紛れて 君は振り返らない
知らない背中にかける おやすみ


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