彼の世界では言葉が意味を持たない。
十字路を通りすぎていく。答えは見つからないままだ。
小説は彼を待つ。

図書館は燃やされて、もう喉は必要ない、それだけ。
彼ら顔を見合わせては、笑うだけ。
この峠を超えていって、何に変わろう?

いま、図書館は業火の中。首筋は凍った、それだけ。
彼らは汚れた服を着て笑うだけ。この峠を超えていった今はどこに?

旅の医者目を見開いた。
その火傷は燃え続ける。街は東。
海はもう、すぐそこだ。


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