胸のつかえを吐き出しても
優しさにかわらないが
街はいつの間にか
やがて来るはずの季節の準備に浮足立つ

風はたしか
通りすがりにこう云っただけ

「ここに雨を降らしてよ
全てを洗い流してしまうくらい」
何もかもを濡らして
朝になれば乾いてしまうのか

人の流れと排ガスの色
鮮やかなのは傘の方
俺は何者か
やがて狂うはずの時計は誰を支配する

歩き出せば
もう一歩だけ動いただけ

心まで誤魔化しても
何一つ放り出すつもりはない
雨が熱を奪って
立ち停まればそのまま
そのまま

「ここに雨を降らしてよ
全てを洗い流してしまうくらいの」
何もかもを冷やして
当たり前の顔をして

こんな世界を満たしている
ありふれた想いを さあ讃えてよ
「まだ間に合う」と誰もが
抱えた負債はそのまま


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