甘い夢から覚めた名残のように
瞼の裏にいつもあるうすいむらさき
私を染める

スミレに刻まれて枯れて行く
春の睦言
もうすぐ海に出るあたりで
何かを諦めた水の
わかれうた

白い鳥が見せた
寂しい翼の裏側
やがては夜と同じ場所へ消えて行く
朝霧の裾
全てを染める

過ちのように咲いていた
甘い花の香り手のひらの中
闇から光へ
暮れて行く夜明けの色に
心奪われる
夢の中の調べ
乾いた心の砂に滴る
世界がまた愛しくなる
連なる思い出を従えて

天窓の向こうに
糸を引いて降って来るもの
あなたの触ってはいけない処にある
ひかりのような
ひとりうた

冷たいひかがみに
凝ってる薄い憂鬱
優しくなれないひとたちが
泣いていた秋の夕暮れ

全てを染める


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