一堂に会して
一斉に歌った
耳鳴りが止まらない
瞬間の空気が
一層陰って
張り詰めた蝶番(ちょうつがい)みたいだ
顔が見えない
声も聞こえない
ぼやけきった人混みが
近づいてもまだ
離れてもまだ
声のない声だけは鳴り続ける

シリアルシンガーなんだって
自問自答に声を揺らす
シリアルシンガーなんだって
歌を歌って傷を舐めたんだ

オルガンのコードで
揺れるあなたは
Amが好きだった
鳴らす指先
怒りっぽかった
それもそれで愛らしいなって

シリアルシンガーなんだって
あなたが言うから戸惑って
シリアルシンガーだったって
愛して欲しいのに

シリアルシンガーは歌った
あてのなかった気持ちだけ
シリアルシンガーは困った
あなたはもう鳴り止まぬ声に

ひび割れたって
繋いでくれよ、なあ
余りの面で愛してくれよ、ねえ
壊されたって
繋いだはずなんだ
そんな脆い歌じゃないよな

シリアルシンガーなんだって
あなたが言うから戸惑って
シリアルシンガーだったって
愛して欲しかったのに
シリアルシンガーは歌った
あてのなかった気持ちだけ
シリアルシンガーは困った
あなたはもう鳴り止まぬ声に


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