黒いシミみたいに
油がしみこんだ路地で
君を抱きしめる
河のすえた臭いが
T-シャツにこびりついてやしないかな…

君がずっと顔に ハンカチあててる理由は
ぼくの街や河の臭いが たまらないわけではなくて
たぶん 春の花粉のせい

黒いシミのように
ぼんやりとぼくらの心は
いつもくすんでいた
大切なことさえ
誰かに言われないと気づかない

去年と同じ ヒザのぬけたパチもののジーンズ
君が一人だけで 先に大人になってしまうのかな
たぶん 春の風とともに

ぼくらの毎日はすこしずつ 河の流れのように
何も変わらないようでいて本当はすごいスピードで
変わってしまう…

ぼくの足がからんで 道に倒れるまで走ったら
この街の向こうへ 自由へ 君を連れて行けるかな
たぶん 春の夢のように


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